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2002年度予算特別委員会教育委員会審査 増井きみえ
2002年3月18日

私立高校生授業料減免制度を拡充せよ

■質問■増井委員
 私は私学助成の拡充と新規の奨学資金貸与事業について聞きます。
 まず、私学助成です。長引く不況とリストラなどによる影響で、企業倒産、失業者数は増え続け、県民生活はいっそう深刻な状況です。そんな中、教育費にたいする父母の負担、とりわけ私学に通う子どもをもつ親にとって、その負担が生活に大きくのしかかっています。授業料軽減補助をうける親の経済実態と生徒の状況はどうなっているでしょうか。

▼答弁▼岡田教育課長
 授業料軽減補助の交付実績は、昨年度は、補助対象生徒数で1万6777人、対象率で34.5%たが、本年度は1万6666人、対象率35.2%となる見込みです。生徒数は全体の生徒数と合わせて減少していますが、対象率が0.7ポイント上昇しているということです。そういうことで、授業料・学費負担者の所得も、補助単価の低い生活保護世帯あるいは、課税所得ゼロの世帯が若干増加しているということで、そういったことも影響して授業料軽減補助の総額で約6800万円の増額となっています。

■質問■増井委員
 これを見る限りでも、親の負担、そして子どものたいへんさというのが手にとるようにわかります。授業料軽減補助を受ける生徒数は増え、親の経済的状況が深刻度を増しているということがここに現れています。今の経済不安、雇用不安の社会情勢はよくなるどころかまだまだ出口の見えない状況ですから、今年よりもさらに、来年度授業料の軽減補助を受ける生徒が増加するということが容易に想像できます。
 そこで具体的に聞きます。私学の授業料軽減補助は、親の収入によって5段階に分けられ、現在年3万円から17万3000円の軽減補助がおこなわれていますが、何を基準にして軽減額を設定しているんでしょうか。

▼答弁▼岡田課長
 授業料軽減補助は、補助単価は指摘のとおりです。補助単価の基準は、学資負担者の所得を基準として、学資負担者の一定の所得階層を対象とし、生活保護世帯で17万3000円ですし、そのつぎのランクは、課税所得ゼロの世帯、それから指摘の補助単価3万円というところでは、標準世帯いわゆる親子4人家族の標準世帯で年収747万円の世帯までを対象とするということで、747万円の世帯でいうと、課税所得としては319万5000円です。

■質問■増井委員
 私学の授業料平均は28万円と聞いています。県立高校の授業料は11万1600円ですから、生活保護世帯の私学の生徒は差し引き17万円程度の補助をうけるということになるわけです。しかし一方で、公立高校では、全額免除、半額免除という、規定の授業料から減免がおこなわれるわけです。私学と公立の格差はそのままですから、それはおっしゃることが当たっているか疑問を持ちます。公立でも、平成12年度で9681人、平成13年度で1万147人と減免を受ける生徒が増えているように、実態はたいへんな状況です。公立並み、これを基準にしているということであれば、公立の生徒がさらに全免それから半減、これを受けているわけですから、この差は常についてまわる。さらに私立高校の生徒への減免制度、減免補助額を拡充すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

▼答弁▼塚本企画管理部参事
 経済的な理由等で、私立高校生の就学機会を確保するために、授業料軽減をおこなっていますが、本年度は先ほどの数字です。改定をおこない、生活保護世帯で15万8000円から17万3000円と1万5000円引き上げたのを始め、標準世帯で年収315万円以下の世帯で約4000円、以下順次引き上げ額を逓減させていますが、所得の低い層にたいして、より厚くなる形で補助単価を引き上げをおこなっています。今後ともこういった社会経済状況、あるいは県立高校の交付金の改訂状況を考慮しながら、適宜見直しをおこない充実に努めたい。

■質問■増井委員
 そんな考え方でいいのかと思います。私、ちょうど3年前の一般質問でも申しましたが、生徒の数が増加し続けた時に、県立高校を増やさずに「私立高校にその肩代わりをしていただき私学も公教育の一端を担う」と位置付けられてきたはずです。確かに私学はいろいろ特色があるが、現在の高校進学率が98%を超えるという状況のもとで、教育を受ける生徒に公と私の経済的負担に大きな格差があってはならないと思います。
 ちょうど昨年の11月4日に、NHKの「おはよう日本」で、授業料滞納について放映されました。私学に通う生徒のうち、親がリストラになってなかなか再就職できない、また家業の経営が苦しい等の理由から、授業料の滞納が3カ月以上の生徒が、2001年9月末で383人、全体の1.98%です。それを1校あたり何人そういう生徒がいるのかと言われていましたが、18人もいることになり、それがさらに増え続けているわけです。こうした中で、修学旅行にも行けず、その積み立て金を授業料の支払いに充当している。それは修学旅行に行くのを断念するという、本当に子どもたちにとって辛い目にあっているわけです。未来を担う生徒達に、安心して学校へ通える教育環境づくりのために、ぜひ制度の拡充をしていただきたい。再度お答えください。

▼答弁▼塚本参事
 公立学校そして私立学校ともに協力をしながら、高校教育、この場合公教育を担ってきたところです。公立学校は、基本的には所得あるいは地域に関わらず高校教育の機会を均等に提供することが基本的な役割だと思いますが、それとは別に、私学はそれぞれの建学の精神によって設立され独自の教育方針を持ってやっている。中高一貫の進学校、あるいは良家の子女を対象とした教育・教養教育をおこなうところ、あるいは職業教育を重点的においた学校など、さまざまな多種多様な教育をおこなっている状況です。そういう意味において、公私の格差必ずしも同じような状況で考えるのはどうかということはあるが、どの程度の差が妥当か明確な基準はないと思いますが、その負担のありかたについて、私学とともに私立高校懇話会を設置しています。そういった中で議論を深めたいと考えています。

■質問■増井委員
 公私の違い、私学の特色を理由にして、子ども達が、経済的理由で、教育基本法の機会均等の精神からはずされてしまう。このことは絶対に避けていただきたい。そして経済的理由によって学習が阻害されたり、人生を大きく変えなければならない、人の成長期時代でもっとも大切だといわれている思春期の時代にそうあってはならない。ぜひ避けていただきたいということを強く要望してつぎに移りたい。


私学の施設整備に補助をし、父母負担の軽減を

■質問■増井委員
 つぎに、私学助成についての2点目は、学校の施設整備費です。
 私学に通う生徒を持つ父母の負担を増大させている要因に、学校施設整備費負担があります。各々の学校によって納め方は違いますが、特に初年度には20数万円を徴収している学校が多いのです。授業料減免でも申しましたが、公教育の一端を担う学校の施設整備費を、私立と言えども父母に負担を求めるのは、きわめて不当と言わざるを得ません。そこで、私学の施設整備費にたいする県の補助金制度をぜひ創設して、父母の経済的負担の軽減をはかるべきだと思いますが、考えを聞かせください。

▼答弁▼岡田課長
 私立学校は、基本的には、私人の方々、篤志家が、自らの財産、あるいは有志の方々の財産を寄付という形で集めて開学されるということですが、それ以外に、従前から、国庫補助において施設・設備にたいする補助がおこなわれており、県は運営費にたいする支援ということで、経常費補助あるいは就学支援としての授業料軽減補助の充実に努めてきました。一方、学校法人の会費とか県等の出資金で運営する私学振興協会がありますが、この協会において、施設整備にたいして貸付利率1.4%という低利融資もおこなわれおり、大規模な修繕等について、保護者の負担を軽減するよう配慮しています。このようなことから、今後も、限られた財源の中から私学振興をはかるためには、建設あるいは施設整備ということで、一部の学校のみを対象にしてその学校だけが効果のある補助金よりも、むしろ全学校、全生徒の均衡が均等に効果が及ぶ経常費補助や授業料軽減補助等の充実に努めたい。

■質問■増井委員
 全国的にも本県の経済状況、失業率は本当に深刻です。こういった実態に見合っているか、本当に不十分だと言わざるを得ません。
 既に全国では、新潟県、愛知県などで施設補助がおこなわれています。新潟の例でいえば、当局からの経常費補助金の生徒1人当りの補助額は、兵庫より多い34万1913円で全国第3位です。その新潟で、なおかつ施設整備費補助金制度があるのです。新潟県私立高等学校施設補助金交付要項の第1条に「知事は新潟県内における私立高等学校の施設整備を促進し、教育条件の維持および向上並びに施設整備等生徒納付金の父母負担の軽減をはかるため、私立高等学校の設置者がおこなう施設整備事業の要する経費にたいし、予算の範囲内において補助金を公布する」としています。ぜひ本県でも実施について検討していただきたい。再度、答弁ください。

▼答弁▼岡田課長
 兵庫県としては財政上の措置として、施設整備は国等の補助、あるいは国の関係する日本私立学校振興共済事業団、私学振興協会、こういうところの低利融資あるいは補助金によって、施設整備をはかっていただく。私どもとしては運営費にたいする支援を今後とも充実し、授業料軽減ということで就学支援にいっそう力を注ぎたい。

■質問■増井委員
 深刻な経済状況にある、全国的に見ても兵庫県は深刻である。その兵庫県だからこそ、兵庫県の教育委員会が経済的に困難な子どもたちにたいするあたたかい支援が今求められている。再度お答えいただきたい。

▼答弁▼金沢企画管理部長
 施設整備にたいする補助は、必ずしも学費の工面がつかずに在学が困難になっている生徒にたいする支援ではなくて、学校経営そのものにたいする支援と思っていいものと思います。本県としては、学校経営にたいする支援は、特定の施設整備をおこなう学校に効果がある施設整備補助というやりかたよりも、経常費補助という、全ての私学にまんべんなく効果が発生するようなやりかたをとる方が正しいのではないか。それとは別に、在学が困難な経済的に厳しい立場におかれている生徒にたいする授業料軽減補助の充実は、これまでも充実に努めていますし、今後ともしっかりと充実をはりたい。限られた財源の中ではありますが努力したい。


高校奨学資金貸付は要件満たす生徒全員に

■質問■増井委員
 兵庫県より多く、新潟県では経常費補助金を出している。その新潟県でなおかつ施設整備費補助金制度を設けている。ここのところをぜひ前向きに捉えていただきたい、学んでいただきたい。
 ぜひ検討していただきたいと要望して、つぎは、来年度から新規に取組む奨学資金対応事業について質問します。
 経済的理由で就学が困難な高校生に手を差し伸べることが今求められています。このたび本県が奨学金制度を創設されたことは、生徒達に応えるものとして、そしてわが党も毎年県独自の奨学金制度の創設をと要求してきたものであり、前進であると考えます。新1年生で対象予定は780人とのことですが、その根拠は何でしょうか。

▼答弁▼杉本高校教育課長
 本県における日本育英会の対応実績、これをもとに推計して、さらに昨今の厳しい経済状況による貸与者の伸び率を、過去の対応実績の伸び率を勘案して算出したものです。

■質問■増井委員
 要件を満たしている生徒が780人を超えた場合どうするんでしょうか。

▼答弁▼杉本課長
 申請者がもし見込数より多い場合は、日本育英会あるいは関連部局と調整をはかりながら、基準を満たす申請者のできるだけ多くの生徒が奨学金を受けられるように努力したい。

■質問■増井委員
 それは認識が甘いと思います。先日神戸市議会で、神戸市の奨学金制度の第1次募集だけで申込みが殺到して、1000人枠に1685人、これだけの人が申込んで、要件に合いながら328人が支給対象外になったということが新聞紙上でも報道されていました。神戸市当局は「県の新制度を利用していただきたい」こういう旨の答弁をしているわけです。それだけ県の制度に今期待が寄せられているんです。神戸市だけでも大変な状況ですから、全県で780人で十分とはとても思えません。入学試験の合格が決まれば、申込みはさらに増えるのではないかと聞いています。
 ぜひ、条件を満たす生徒には全員貸与できるよう、予備費も5億円あるわけですから、また補正ということも考えられます。ぜひ制度利用できるようにすべきと思いますが、どうでしょうか。

▼答弁▼杉本課長
 神戸市の件については、委員指摘のような数値は、私どもは十分に承知しています。ただ、神戸市の奨学金事業は給付事業で、今回の支給対象外になりました328名すべてが本県の奨学金の貸与事業に申請するとは考えていません。これについては、昨年度の実績等を見てもそのような状況です。私どもは貸与事業、神戸市は、この度話題になっているのは給付事業です。

■質問■増井委員
 給付だから殺到して、貸与だから、で返さなければいけませんから、若干振り落とされるだろう。これはあまりにも子どもたちに冷たい答弁です。子ども達のためにせっかく県独自に制度を作られるわけですから、要件を満たしている生徒全員に利用できるよう、ぜひ検討していただきたい。再度お願いしますが、どうでしょうか。

▼答弁▼杉本課長
 基準を満たす申請者については、経済的な理由から就学が困難になるということは非常に厳しいことで、できるだけ多くの生徒が今回の本県の奨学金を受けられるように、関係部局とも連係をとり努めたい。

■質問■増井委員
 子どもたちが、本当に希望を持って明日を担っていける、そういう立派な大人になってほしい。私達もみなさんもそうだと思う。だからこそ、今県行政が、とりわけ教育をつかさどる教育委員会のみなさんが、子ども達が一歩一歩前進していける、その一歩をどう作っていくのか。このことが今求められています。せっかく県独自の制度を作るんです。ぜひ申し込んできた生徒すべてに貸与できるように、心から強く要望して私の質問を終わります。

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