監督船「はりま」の修繕に関わる疑惑を解明せよ
■質問■増井委員
私は、加古川土木事務所が所管する監督船「はりま」の修繕に関わり質問をします。
この監督船「はりま」は、平成4年3月に約1500万円で購入しています。ところが平成12年度から13年度までにかかった修繕費は総額約1680万円で、購入費を上回っています。平成10年度と13年度の2回の修繕費はそれぞれ626万円と823万円程で、合計で約1489万円にもなっています。常識的に考えてあり得ないことだと思うが、どのような事情があったのでしょうか。
▼答弁▼柳瀬港湾管理室長
「はりま」の修繕は、平成10年度に既設のエンジンの調子が悪く、操舵に不安があり、1基のエンジンでは走行中に故障すれば遭難の懸念もあったことから、ガソリンエンジン2基を改良しました。また平成13年度の修繕は、同船が高砂市沖合約1海里を航行中に突然右舷のプロペラが停止したことから、帰航後点検すると右舷エンジンのオーバーヒートと動力軸の破損が確認されました。左舷エンジン自体も故障時の負荷で不調となり、2基のエンジンをより安定性の高いディーゼルエンジンに取り替えたものです。
■質問■増井委員
資料を見ると、第1回目の平成10年度の修理・修繕の理由として「潮流の早い明石海峡の影響を受けて、潮流の不安定な海域を担当しており、気象の変化等により横波を受ける等危険な状態になりやすく、そのために老朽化があった」ということが理由になっている。しかし、この潮流の激しい明石港沖は、同じ加古川土木のもう1艘の監督船「あかし」が担当していると聞いています。問題の「はりま」は、二見港を中心に運行しているということです。船舶に詳しい人にいろいろ話を聞いたが、この海域、二見港区は、非常におだやかなところだということで多くのプレジャーボートが訪れているということですし、海上が荒れている場合、4トンクラスの船では始めから出航しないのが常識だと聞いているが、どうですか。
▼答弁▼柳瀬室長
監督船「はりま」は5トン未満の船ですが、同じような大きな港湾、尼崎西宮芦屋港や姫路港、そちらの方の船は、17トンあるいは19トンという大きな船が配備されています。同じように東播磨港は東西14キロメートルあり、範囲が広いし、気象条件も明石海峡の潮流の影響もありますが、東部では、区域が広く東の別府港区の沖、ちょうど神戸製鋼の沖周辺は、やはり潮流の影響を受けて三角波が立つなど、自然条件は今委員言った平穏な区域ではなく、埋立の背後の区域は平穏ですが、埋立の外へ一歩でるとやはり潮流の影響を受け三角波の立つ場所もあります。
■質問■増井委員
つぎに「はりま」の性能についておうかがいしたい。マリンの経営者であり、1級の資格を持ち、なおかつプレジャーボートを所有しておられる、こういう方に詳しく聞いたが、この船には、当初ボルボAD41デュアルプロップディーゼルエンジンが搭載されていました。これは直進性あるいは安定性に優れており、現在の技術の最先端を行くものだと評価されています。
それなのになぜこれをはずしてガソリンエンジン2基に変更したのでしょうか。その理由として、2基にすれば仮に1基が万一の事故になった場合も1基が作動するため安全だと理由書に書いてあるし、さっき答弁ありましたが、それならば、その1基をはずしてしまうということではなく、補助エンジンを搭載する。それだけで十分だというわけです。それに、船体は当初のエンジン1基を搭載するということを前提に設計している。ところがエンジンを2基にすれば馬力数も増えるし、重量も変わってきます。船体を補強しない限り、安全性はかえって損なわれることになりますが、船体の補強はされたのでしょうか。
▼答弁▼柳瀬室長
エンジン1基から2基に変えており、当然エンジンの入る部屋などが変わってきますから、船体、重量も変わりますし、船体の補強等はおこなっています。それから補助エンジンですが、補助エンジンをつけることも考えられるが、補助エンジンをつけると今の「はりま」は船外機をつけるような船ではありませんから、船のバランスが悪くなるし補助エンジンをつけるというのは適当でないと考えます。
■質問■増井委員
「『はりま』特別整備要望について」という書類を見ると、実際は船体の補強がされていないんじゃないかということがうかがえる。「『はりま』修繕の状況」という一覧表もいただいているが、先ほど答弁いただいた「船体の補強」という記述はない。実際、この工事の入札結果は800万円台が2社、500万円台が2社ありました。そして入札の結果は500万円台の業者に落札をしている。800万円台の業者は船体の補強も当然必要だと考えて見積もっていたにもかかわらず、500万円台の業者に落札しているが、船体の補強を800万円台の業者は見積もっていたのではないでしょうか。
▼答弁▼柳瀬室長
当然、入札資料あるいは設計、業者に同じものを渡していますから、片一方が見積もりをしない、あるいはするということはない。
■質問■増井委員
つぎに、昨年10月の2回目の修繕について質問したい。
1回目の修繕から2年3カ月しか経っていない13年6月に故障して修繕しています。この時の運行時間はわずか565時間です。通常、エンジンのオーバーホールは数千時間単位だと聞いています。この点も大変不可解だと感じているが、当初購入したときはディーゼルエンジンでした。性能が優れているといわれているディーゼルエンジンを、1回目の修繕時にガソリンエンジンに変更しています。ところが2回目の修繕の13年6月にまたディーゼルエンジンに戻している。なぜこんなことになっているのか説明いただきたい。
▼答弁▼柳瀬室長
指摘のとおり、当初は1基のディーゼルエンジンです。10年に2基のガソリンエンジンに変えています。それは予算の範囲内という制約もあり、ディーゼルエンジンですと高価ですのでガソリンエンジンにせざるをえなかった。2回目は故障しており、やはりまた安定性の高いディーゼルエンジンに直したということです。
■質問■増井委員
予算の関係をおっしゃいましたが、予算の関係があるなら、エンジンを2回にわたって入れ替えていますが、元のエンジンは下取りしてもらったのでしょうか。それとも廃棄されたのでしょうか。
▼答弁▼柳瀬室長
第1回目も2回目もエンジンはそれぞれ使用に耐えないという判断で業者に処分していただいた。
■質問■増井委員
処分させたということですが、最初のボルボAD41デュアルプロップエンジンは、6年経過しているとはいえ、大変高性能だということで、引く手あまただと聞いている。またガソリンエンジン2基はマニアの間では大変人気が高いということです。なぜ、このようなエンジンを、予算の関係と言いながら下取りさせずに業者に処分させたのか理解できません。
さらに、指摘したいことは、特定の業者との関係です。2回目の修繕工事をおこなった業者ですが、工事規模は小さいものの平成10年、11年、12年度と連続して工事を受注しています。またこの船舶の日常的な維持管理業務も受託しています。そしてこの業者は、1回目の修繕工事は別の業者が入札しているものの、その下請けとして参加している。これらの不明瞭な点について当局は調査されたのでしょうか。
▼答弁▼柳瀬室長
事務所の方に、当初業者は奥村造船株式会社。2回目の業者は、アイヌマリンです。当初の業者、奥村造船はアイヌマリンそれから奥村ボート販売に下請けを出したと確認しています。
■質問■増井委員
やはり、特定の業者に一連修繕などをおこなってもらっているということでは、なれ合いが起こりかねない。先ほど紹介したマリンの経営者も関係者も「県の姿勢は甘い」と語っておられますし、職員の間でもこれは異常だとうわさになったと聞いている。徹底的にこの点を調査していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
▼答弁▼陰山土木局長
10年から11年12年13年に4回にわたる契約関係、あるいはそのエンジンを交換した理由などについて十分に調査しました。われわれが事務所に聞いて調査した範囲内では理由も正当ですし、発注した手続等も適切におこなわれています。もちろん、そのようなうわさやそういうことがあってはならないことで、今後も維持管理と適切な使用、万全を期して最小の費用で運営するよう事務所を指導していきたい。
■質問■増井委員
ほんとうに納得いかない。知ろうということももちろんですが、今日申し上げた質問内容、引く手あまただというエンジンを下取りもせずに処分させた。その行方もつかんでおられない。そして特定の業者との一連の修繕などもおこなっている。そして入札価格も、当然エンジンを変えるわけですから、構造上船を補強しなければならないにもかかわらず、その分を含んでいないであろう価格で落札されているという点等がまだまだ疑問として解明されていない。徹底的に調査をしていただきたい。
▼答弁▼陰山土木局長
この件については、われわれが調査した範囲内では正当な理由と適正な手続を踏まれておこなわれた事項です。今後は、さらにいっそう正当な適正な手続きを踏むよう事務所を指導してまいります。
安全性にも疑問、神戸空港への県税投入をやめよ
■質問■増井委員
それでは納得できない。徹底的に調査をしていただきたいと要望し、かつ私達も引き続き追及するということを述べて、つぎの質問に移りたい。
つぎに、神戸空港問題について質問します。
空港の必要性や採算性の問題については、代表質問や一般質問で指摘したので、ここでは空の安全性について質問したい。
私どもは、かねてより、空港が輻輳することによる空の安全性に課題があると指摘してきました。2000年4月に提出された、旧運輸省の3空港官制シミュレーションは「ラッシュ時には安全間隔を保つため、神戸空港の出発機は定刻通り飛び立てない」としているわ。つまり、神戸空港からの離陸機は東には飛び立てない。西に離陸することになるが、この2つの空域と重なるため、極めて危険な状況になるわけです。また、扇国土交通大臣も、今年の2月22日の衆議院予算委員会で、伊丹の空域と関空の空域との狭い間にしか神戸空港の官制空域がないということをあげて、もう一度データを集めたいと発言されています。県はこの事実を承知されているのでしょうか。承知してもなおかつ神戸空港建設の後押しをされるのでしょうか。
▼答弁▼武部空港政策担当課長
昨年3月に実施された、旧運輸省がおこなう関西ターミナル管制業務にかかるシミュレーション評価について、新聞等に載っていましたが、そのことについて神戸市に聞いたところ「国の方から、これは、あくまで一定の条件のもとでのシミュレーションをおこなったもので、その一定の条件というのは、関西国際空港および大阪国際空港の出発機あるいは到着機の数が現在の数よりも相当大きな数字で、それでかつ安全かどうかということを調べてみたもので、現在の状況で問題あるかどうかをやっているわけではない」と聞いております。いずれにしても、このようなことについては、国が神戸空港を開港する前に、責任を持って管制についてこのような飛行経路で飛ぶということを決めていただくということになっており、兵庫県としては、十分な安全性が保たれて開港を迎えるのではないかと考えています。
■質問■増井委員
今、答弁ありましたが、それでも多くの市民は納得してないということが前提にあると思う。旧運輸省のシミュレーションや国土交通大臣の発言は、いずれも重い意味を持っている。ところが、具体的な根拠も示さず「心配ない、安全だ」と主張されても、県民は納得できないと思います。
神戸空港については必要性もなければ採算性の見通しもありません。空の安全性にも疑問があります。環境問題にも疑問が多く残されたままです。このように多くの課題を残したまま、県税を注ぎ込めば、野中広務氏が指摘したように「本四架橋と同じ批判を受けることになる」のは明らかではないでしょうか。神戸空港への県税の投入は中止すべきであることを強く主張して、私の質問を終わります。 |