不況下の中小企業へ融資の条件変更や借換制度の創設を
■質問■森田委員
日銀の神戸支店が、管内の経済金融概況で「景気は引き続き厳しさを増しており、企業マインドも一段と慎重化している」と分析しています。さらに帝国データーバンク神戸支店も「1月の県内倒産件数・負債額とも過去最悪になった」と発表しています。そんな中で中小企業への支援、とりわけ金融対策の拡充が今緊急に求められています。そこで私は、既に融資を受け、苦しい中でもなんとか返済してきたものの、長期にわたるこの不況の中で、返済が今困難になっている中小企業や業者への支援にしぼって以下質問します。
県は、中小企業の融資制度の返済について、この間条件変更を弾力的かつ柔軟に対応をしているとたびたび強調されてきました。その条件変更について、1つは、返済期間はそのままで月々の返済額を減らし、そして残額を最後に一括返済するという方法です。2つ目は、返済期間を延長して月々の返済額を減らして行く方法です。そして3つ目は返済期限だけを延ばす、こういう対応がとられていると聞きました。では、それぞれこの事例毎に件数や金額について県は把握をされているのか。簡潔にお答えいただけますか。
▼答弁▼井上金融室長
条件変更については、保証協会で積極的に対応しています。その件数については私どもも報告を受け承知しています。
■質問■森田委員
その件数を聞いています。
▼答弁▼井上室長
件数は、今年度に入って、前半の半年は、ほぼ毎月2000件程度、それから10月からの特別経営支援貸し付けがスタートして以降は、1000台の後半、このように推移していると聞いています。条件変更については、もろもろのやり方があるが、保証協会では、基本的には1つの条件変更ということで統計をとっているので、私の方では聞いていません。
■質問■森田委員
ということは事例毎には把握されていないということですが、融資制度については、融資の条件、返済の状況など実態を把握して、常に改善拡充が求められています。今後はその実態を把握してきめ細かな対応をしていただくようにまず強く求めます。
では、具体的におたずねします。条件変更の中で、制度上定められている返済期間を超えて返済猶予や条件変更がされている事例、例えば融資期間が最長7年と定めれらている場合、その期間を超えて条件変更した事例はあるのでしょうか。
▼答弁▼井上室長
そういった条件変更についても保証協会の方では柔軟に対応していると考えています。
■質問■森田委員
柔軟に対応されているとお答えいただいたが、それは制度的に今ある融資の中で制度を柔軟に対応されているということですか。
▼答弁▼井上金融室長
整理して申し上げると、一般の金融機関が自主的におこなう融資にたいする保証協会の保証した結果で、その後の条件変更これについては柔軟に保証協会と金融機関でご相談いただいて応じている。それから県でやっている制度融資については、基本的に最初に定められた契約通りの約定を基本としてやっていますが、その融資を受けた段階以降、中小企業の方はいろいろな経営環境の変化等あって事情も変わっています。そういったものについても考慮して、信用保証協会の方で、返済が困難になったという場合、当初の制度で決めたスキームを超える部分についても状況に応じては弾力的に対応をおこなってくれていると考えています。
■質問■森田委員
当初で決められたことでも弾力的にやっていこうということで、融資の期間延長ですが、この不況の中で新たに借り入れをしていく場合でも、月々の返済金額が少額になっていけば借りやすくなるのではないでしょうか。
埼玉県では、深刻な事態を受けて、中小企業を守るためにも地域経済を守るためにも、制度融資の拡充が必要だとして、融資期間の延長措置をとっています。ここで強調したいことは、すでに融資を受けていた業者にたいしても、希望者には延長措置をとったことです。なんとか耐え忍んで苦境を乗りきろうとがんばっておられる方々を応援していくためにも、兵庫県でもぜひこのような制度を実現していただきたいが、いかがでしょうか。
▼答弁▼井上金融室長
私どもとしては、柔軟な条件変更の中で実際には、個別にその企業の事情も勘案した中で弾力的な対応をしており、埼玉県の制度と同様の効果をあげているのではないかという理解ですので理解いただきたい。
■質問■森田委員
融資期間の延長が、今、制度として確立をされることが最も好ましいことです。深刻な不況の中で、臨時的応急措置として実現をされるよう重ねて主張してつぎの質問に移ります。
つぎに金利の高い融資を低利の融資に変えたい、あるいはより条件のよい制度融資に切り替えたい、こういう思いから過去の融資を一括返済する資金として、借換を認めて欲しいという声が今多くよせられています。この声に応えて借換制度を兵庫県としても創設をしていただきたいが、いかがでしょうか。
▼答弁▼井上室長
本県の融資制度は、県内の中小企業に事業資金を安定的に供給する目的をもった制度と考え、実際に中小企業へ資金供給増が見込めない、いわゆる借換は従来から対象とはしていません。但し、信用保証協会においては、従前の資金使途が真に事業資金であることが明らかで、新たな借入れようとする資金が金融機関ではなく、中小企業者に有益かどうか、有益と判断される場合に、返済能力等も審査の上、弾力的に取り扱っていることについて理解いただきたい。
■質問■森田委員
いろいろと理由を上げられているが、今なんとか営業を続けているように、続けていくようにということがまず第1だと思います。そのためにもせめて制度融資の借換だけでも今作ってはどうでしょうか。
ここに京都府の資料を持っているが、京都府では、今年1月から京都府や京都市の制度融資を借りている企業を対象に借りかえ融資を実施しています。これは運転資金で期間は7年間です。当然保証協会の保証も必要とされたものです。保証協会の保証もつくものですし、兵庫県でもこれはできないはずはないと思います。ぜひ検討をお願いします。
▼答弁▼井上室長
指摘の京都府の制度については、承知している限りでは、条件として困窮された方にたいして無条件ではなく、安定的な経営が見込まれ、かつ返済の見込みが十分にある方に限定するということで、経営改善計画書の提出を求め、その審査を信用保証協会がおこなうものと聞いています。そういった意味では、本県でも同様に、信用保証協会が個々の事業者の相談にのった上で弾力的な対応もおこなっていますし、やむを得ない場合には、返済条件の変更についても弾力的におこなっており、京都府で行政的な効果を狙われた部分については、われわれなりに努力して同様の効果をあげているのではないか、現行で効果もあるのではないかと考えます。
■質問■森田委員
ということは、この借換制度は実際に保証協会の保証もつくという段階に来ているということで、これは検討していただけると理解してよろしいんでしょうか。
▼答弁▼井上室長
答弁が分かりにくかったのをおわびしますが、私どもとしては、既存の制度融資のスキームの中で考えていくということで、借換制度については今のところ導入を検討するということは考えていませんので理解いただきたい。
■質問■森田委員
続いて金利の引き下げについてうかがいます。
昨年県は0.8%という低利の特別経営資金貸付けを作られました。資金繰りに悩む中小企業がこれを多く利用されています。結局、金利は下げようと思えば県で下げられるということだと思うが、県下でも宝塚市や豊岡市では独自に利子補給をしています。金利を引き下げるか、利子補給制度を創設するとともに、既に借りている方にも適用するように求めますがいかがでしょうか。
▼答弁▼井上室長
今まで金利の設定にあたっては、地域の金融機関それから保証協会の協力も得て実施している制度融資ですが、長期プライムレート等、市中金利とのバランス、それから各融資制度の資金メニューの目的、政策的な目的、これらも勘案してメニューごとに格差を設けつつも民間金融機関の資金に比べて非常に低利に設定してきている。それを可能にするために、県から金融機関に預託をおこなうことで財政的な部分の負担も負った上でやっていますので、全面的な金利引き下げは今のところ考えていません。
保証協会に責任転嫁した銀行の対応に指導を
■質問■森田委員
金融機関の中小企業への対応についてうかがいます。
貸し渋りや貸しはがしはもちろん許せないことですが、条件変更を申し入れたところ、多くの金融機関で「信用保証協会が拒んでいる」と応じられませんでした。そこで信用保証協会とこの点について交渉したところ、そんな問い合わせはなかったということがありました。金融機関が信用保証協会に責任を転嫁して条件変更を拒むという事例が今増えてきています。県はこのことを御存じでしょうか。またこれについてはどのように対処をされているかお答えください。
▼答弁▼井上金融室長
信用保証協会では第三者の介入を排除するという基本原則を立てており、個別の案件についての事情、中小企業がどんな借入れがあるとか、どこの金融機関に借金が残っているかといった情報については、私どもが個別のことを問い合わせしても答えは返ってこないということです。ただし、県民からの苦情が私どもにきた際に、その苦情について、保証協会として是正すべき点がないかどうか話をしている中で、確かに私も保証協会の名前を出しながら、金融機関の判断で別の行動を取られた金融機関にたいする県民からの苦情があったということは承知しています。
金融庁検査マニュアルの信用組合等への一律適用の改善を求めよ
■質問■森田委員
ぜひとも適正な指導をよろしくお願いしたい。条件変更を金融機関が拒んでいる背景には、金融庁の検査マニュアルがあります。条件変更が増加をすれば、取引先にたいして「要注意」や「破綻懸念先」が増加をすることになる。貸倒引当金の積み増しが求められて結果として金融機関の経営を圧迫することになるからです。中小企業の顧客の多い信用組合また信用金庫などに、大手銀行と同じ基準で検査をおこなおうとすることに最大の問題があります。このような姿勢を改めるように国に求めるベきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
▼答弁▼井上金融室長
この件については、基本的に金融機関にたいする指導監督権限というのは国にあります。私どものできる努力とは非常に限られた部分です。ただし、そういった中で、昨年も、全国知事会からの要望というかたちで、中小企業への資金供給の円滑化に支障をきたさないように国の金融制度全般にわたっての断続的な対応もお願いしてきた。金融庁の検査マニュアルの運用については、デフレにたいする緊急対策、あの中でも国としても各検査官が配慮をちゃんとしているかどうかチェックしていくという政策も打ち出されており、その推移も見守りたい。
■質問■森田委員
小泉構造改革の早期最終処理で、金融機関や保証協会が、中小企業から厳しく借金を取り立て営業を続けられなくなっては、失業者がさらに増え、景気回復が増々遅れていくことになります。中小企業や業者にたいして融資の返済猶予をしたり、また少額返済にすることによって営業をなんとか続けられるようにすることが、不況や失業問題解決のためにも欠かすことのできないものだと思います。まさに今、県の姿勢がとわれています。ぜひとも積極的に、今回質問した私の提案を受け止めていただくように、重ねて強く求め、質問を終わります。 |