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2001年度決算特別委員会企業庁審査 ねりき恵子
2002年10月31日

地域整備事業会計の見直しを

■質問■ねりき委員:私は、まず地域整備事業会計の見直しについて質問をいたします。
 私たちは地域整備事業について、地域毎の会計を公表するよう一貫していままでも強く求めてきました。
 2001年2月議会の代表質問でもこのことを要求しましたけれども、これに対し公営企業管理者は「よりわかりやすい財政状況の公表に努めてまいりたい」と答弁をされました。同じ年の予算特別委員会でも取り上げましたけれども、この時も「平成13年度真剣に考えていきたい課題だ」と答弁をされております。
 けれども、今回の13年度の決算報告は、従来と何も変っていないという結果となっていて、私たちはたいへん残念に思っているわけで、これでは約束が違うということになるのではないかと思います。
 そういった検討はいまどのようになっているのかお答え下さい。

▼答弁▼谷口総務課長:地域整備事業会計の会計制度の見直しにつきましては、現在学識者でございますとか、あるいは公認会計士、さらにはマスコミの方々といったような専門家の方々で構成いたします、「企業庁経営ビジョン懇話会」これを新たに今年度から設置をしたわけでございますが、ここにおきまして、県民の方々への説明責任と申しますか、透明性の向上をさらに図るための改善方策につきまして、真剣な議論を今年度より始めているところでございます。
 地方公営企業の会計原則につきましては、地方公営企業法でその基準がかなり具体的に定められておりまして、その見直しにあたりましては、国で現在検討されております会計制度の見直し、これとの整合をはかる必要もございます。
 いずれにしましても、われわれ、地域整備事業会計は県民の方々の多様なニーズを踏まえまして「参画と協働」によって事業を進めていくこういう必要があると思っていますので、分かりやすい会計制度のあり方につきまして、さらにはこちらからの情報の提供のありかたにつきまして、県議会のご指摘、今現在やっております懇話会での専門家の方々のご意見、さらには、パブリックコメントの手続きによりまして、県民の方々のご意見をいただこうと思っております。そういったものを踏まえ、できるだけ早期に結論を得たいと思っております。
 確かに議員おしゃるとおり13年度決算書の上では、具体的にはまだ見直しの成果が表れていないように見えますが、内部ではかなり前向きの検討を今現在実際すすめております。具体のアクションを今進めておりますので、今しばらく時間をいただきたいと思います。

■質問■ねりき委員:内部で検討がされていると、ご答弁あったわけですけれども、やはり期限を切って、いつまでに結果を出すと言うことが求められていると思います。
 やはり時間をかけている間にですね、地域整備事業の財政状況は「雪だるま」式に悪化の一途を辿っているのではないかと私たちは考えています。
 例えば、資本収支の不足を補う繰り越し工事資金である預金ですね。
 平成3年度には806億円ありましたけれども平成13年度416億円とこの10年間で約半分に減っているわけです。その一方で、企業債、借入資本金などは平成3年度に比較して平成13年度は4.5倍に増えています。つまり預金は半分に減っているのに借金は4.5倍というふうに増えているわけですね。
 こういった状況を見ても本当に財政が悪化しているというのは分析をすればわかるわけですが、なかなか分かりにくくなっているというところが問題だと思うんですね。
 播磨科学公園都市、ひょうご情報公園都市、南芦屋浜地区、淡路・津名地区などいずれも造成した用地が大量に売れ残っています。その上、最近では今回の柳瀬のようにせっかく分譲した土地も契約を解除されるということであるとか、播磨科学公園都市では契約が遅延するなど新たな障害も生まれてきています。本当にこのままでは深刻さを増すばかりではないかというふうに思っています。
 このような状況を立て直すためにも、今後それぞれの事業を真剣に見直すという必要があるというふうに思っています。だからこそ事業毎の会計を明らかにして収支を一目瞭然わかるようにしていくということが必要だと思います。この点で本当に会計の事業毎に明らかにすることを一日も早く求めます。もう一度ご答弁下さい。

▼答弁▼谷口課長:見直しの時期につきましてのご質問でございます。
 われわれもできるだけ早い内に整理をしたいという気持ちはやまやまでございます。
 ちょうど国も制度の変わり目ということで、現在まさに検討されておる最中でございます。われわれも再三総務省の方にもその状況をお聞きもし、いろいろと総合的にきちんと検討して見直したい。現在各方面から情報収集しながら手戻りのなきよう進めて参りたいと思っております。
 例えば、われわれ懇話会の委員の方々からもご意見をいろいろお聞きをいたしておりますが、地域整備事業会計で収益的収支を設けるという方法につきましても、民間企業の手法なりいろんな方法がございましてですね、それぞれの方法の、利害得失につきまして、いろんな方面から検討を加えております。またその方法につきましても国の方とも協議をしたいという部分もございまして、先程もうしましたとおり今しばらく時間をいただきたいということでございます。
 それと、全体の収支が悪化をしておるということでございます。確かに例えば平成3年10年前の決算と比べてみますと委員のおっしゃる通りでございます。ただ、現在財政状況がどうかというと、簡単に申し上げますと、地域整備事業会計全体で総資産から企業債を差し引きましても現在約2000億以上の資産が上回っておるという状態でございまして、われわれ「それだけの体力を現在もっておる」と今現在認識でおります。
 その意味では確かに徐々に10年前からくらべると悪化はいたしておりますが、現時点ですぐさまどうかとそういう状態ではないというふうに思っておりますので、ご理解をいただきたいと思っております。

土地の値下がりによる大きな「含み損」がある

■質問■ねりき委員:「現時点2000億円以上の資産をもって十分体力がある」というご答弁でしたけれども、私たちはこの点にもたいへん疑問をもっております。
 事業毎の会計をやはりすぐ出せないという理由の一つに、いわゆる造成のために取得した土地などの未整地事業資産の中に、土地の値下がりによる「含み損」といわれるものがあるからではないかというふうに思っています。実際買った時の土地より今の土地の価格が下がっているということで、その差が生じてきているように思います。
 現時点で企業庁全体でこういったことを計算されて内部的には検討されているのかどうか、もし事業毎にこれが明らかになっているのであればお教え下さい。

▼答弁▼谷口課長:現在の企業庁で持っております資産でございますが、いま原則、「取得原価主義」になっておりまして、時価ベースでは正確には求めておりませんが、近年の地価の減増がたいへん大きくて、経営上も十分にわれわれも留意しなければならない点ではございますので、たいへんに甘いレベルではございますが、試算は行なっております。
 現時点で、もともとわれわれの土地は、臨海部では埋め立てによりまして原資取得をしておりますし、内陸部では山林等を取得をいたしておりまして比較的安価で事業用地を取得をしております。そういうことで現時点では「含み損」は生じていないというふうに理解をしております。
 それと、既に取得をしておる土地が大きな「含み損」を生じておるんではないかというご指摘もございますが、特に今後事業展開を予定しております用地につきましては、これからわれわれが手を加えまして付加価値をつけて分譲していくことになりますので、現時点での「含み損」云々につきましては、我々にとりましては、あまり意味がないのではないかと考えております。
 今後そういった土地につきましては、分譲時点で「含み損」が生じないようにさまざまな工夫をこらしまして、慎重な事業展開をしてもらいたいと思っております。

■質問■ねりき委員:「含み損は今のところないと。あってもこれから付加価値をつけていくんだ」ということなんですが、本当にそれが実際に現実的かどうかという点なんですね。
 私たちは「宝塚新都市」について、実は試算をしてみたんですね。
 これはまだ企業庁に事業が移ってですね、住宅供給公社が建てますので、まだそちらにあるということなんですが、そのことは十分承知をしているわけですが、実際どうなるかという試算ですのでお聞き下さい。
 平成2年度から宝塚新都市の土地を取得していますけれども、事務費や権利を決めた簿価は約1065億円、これにたいして買い取り価格ですね896億、付近地の基準値価格これを調べてみますと、山林なんですが、約6割程度まで平成3年度から現在まで下がっているということなんですね。
 単純にこれを計算しますと、現在約540億になっている。これを計算すれば「含み損」は約500億になるのではないかとと思うわけです。実際にはこれだけの「含み損」があるということで、これにいくら付加価値をつけて売っていこうと思っても、この財政状況から見て全体の経済状況から見てもなかなか売れる見通しもないのではないかというふうに思いますけれども、こういった「含み損」についてはどうお考えでしょうか。

▼答弁▼谷口課長:そもそも地域整備事業会計につきましては、利潤をあげることを最大の目的にはいたしておりません。企業としての経済性を発揮をしながら、本来の目標は公共の福祉ということになります。
 ただ、過去のように利潤が生じました場合には、民間企業のように株主に配当するのではなくて、再投資というかたちで県民への還元を行っているということでございます。すなわち、個別に見ますとなかなか収支が取りにくいなといったような黒字が確保しにくい事業であっても全体の収支バランスに配慮しながら取組んできたというのが実態でございまして、どこかで利益をあげればどこかで還元するそういう手法をとってまいっております。
 そういうことで、事業運営の前提としては、全体の収支はあくまで対外的にも説明できるようにこれは必要なことと認識をいたしておりまます。
 委員のおっしゃるように、全体収支を見る上で個別の収支もチェックも大切だということにつきましては、われわれもこれからどのようにすれば全体分っていただけるような説明ができるのか、そういったことをさらに研究してまいりたいと思っています。

■質問■ねりき委員:いずれにせよ莫大な損害が出ているのではないかということなんですね。やはりこのまま放置すればこの「含み損はない」とおっしゃるんだけれどもやはりどんどん累積していくというふうに思っています。
 県の監査でも、事業会計についてですね不透明さが指摘されていますし、先程ご答弁にもありましたように、国の機関である「21世紀を展望した公営企業の戦略に関する研究会」というところでも、「地方公営会計制度に関する報告書」というのが発表されています。そこでも「時価評価の手法を導入することが望ましい」と指摘をされているところです。地域整備事業のこれ以上の悪化を防ぐためにも、この時価評価の採用も含めて事業ごとの会計を明らかにして、そしてその具体的手立てを取るということが今求められているというふうに思っています。
 やはり、いつまでにこの答えを出すのか、実際に明らかにしていくのかという目標を持って、やっていくということが非常に大切になってくるというふうに思いますので、その点、公営企業管理者のご答弁をお願いしたい。よろしくお願いします。

▼答弁▼足立公営企業管理者:会計制度の見直しにつきましては、先ほど来、総務課長から答弁を申し上げておりますが、この見直しといいますか現状は、地方公営企業法の法令に基づきまして、きちっと私ども会計処理をしてきています。
 ただ、地域整備事業の性格から、投資と分譲収入の間に大きなタイムラグがあると。そういう中で、例えば収益収支を設定いたしましてもですね正確な経営状況が反映されないと、こういう問題が残っており、いずれにしましても、タイミングといいますか時期が非常に重要だという問題がございます。
 さらに、先ほど来言われております時価評価、現在は、取得原価方式で公営企業は法令上定まっておると。こういう中で今国の段階におきまして研究会をつくり民間と同様のですね時価方式を採用するかどうか、こういうことについていろいろ議論がされております。それも踏まえ改善を図っていきたい。
 さらに、貸借対照表、バランスシートを常に決算で明らかにしておりますが、建設途上ということで仮勘定といいますか、そういう中に整理をいたしておりますので、確かに分かりづらい点があることは事実でございますので、このあたりにつき、「ビジョン検討委員会」の中でも専門の先生もおられますので、ご意見も聞きながらですね、できるだけそういう分かりやすい会計のあり方につきましては、十分前向きに検討させていただきたいということでございます。

■質問■ねりき委員:法令上はその通りにやっているというのは私たちも十分知った上で、やはり健全財政運営をしていくために、手立てをするべきやという観点からお願いをしているわけです。
 やはり、収益収支を明らかにするということも、公表するということもやはりしていくべきではないかというふうに思いますし、前向きにご検討されているということですので、ぜひ来年度からは実施できるというようなことを求めて、次に移っていきたいと思います。

宝塚新都市計画を白紙撤回し、環境優先のまちづくりに転換を

■質問■ねりき委員:次は、宝塚新都市について具体的にお答えしたいと思います。
 この事業については、私たちはやはり莫大な事業費を使って阪神間に残る貴重な自然と日本の原風景といわれる農村を破壊するものであり、「計画の白紙撤回と、環境優先を貫いたまちづくりをすすめる」ということを求めてきたわけです。この事業がまちづくり局から企業庁に移って、「平成13年14年の2年間で計画の再検討をする」ということで検討がされているわけですが、2年間今年度中に新たな計画が出来上がるのでしょうか。その点についてお答え下さい。

▼答弁▼岸田宝塚新都市整備室長:宝塚新都市の計画区域は阪神間におきまして豊かな自然環境に恵まれました数少ない地域でございます。
 自然と共生する土地利用を基本といたしまして整理する必要があると考えております。また新都市の計画区域は、広大なことから段階的な整備にとりくむ必要があります。このために「第2名神高速道路」を活用して一定の土地需要が見込まれます「玉瀬第3クラスター」の整備に取組む方向で現在調査検討を行っております。
 宝塚新都市におきましては、自然と共生する土地利用を基本として整備をすることにしておりまして、第2名神高速道路を活用をするエリアありましては一定の造成を行うものの、その他のエリアにあっては可能な限り緑地を残す計画にしたいと考えておりまして引き続き検討を行ってまいりたいとこのように考えております。

先行き不明の「第二名神」だのみの計画

■質問■ねりき委員:段階的な整備ということで「玉瀬第3クラスター」なんですが、全体の約4分の1を占めるんですね。
 計画の最大のよりどころの「第2名神」そのものが、今国の高速道路の見直しの中で開通しても最初から採算が採れない道路の一つにあげられているというようなことで、全く第2名神も頼りにならないのではない状況にあると思う。
 こういった第2名神とリンクさせての計画、やはり明らかに見通しがないと言わざるを得ない状況だと思います。こういう点にたって再度中止凍結ということを求めますけれどもいかがでしょうか。

▼答弁▼寺田地域整備第2局長:「第2名神高速道路」につきまして、なかなか厳しい状況というのは認識をしていますけれども、これは県といたしましては「国土の大動脈」ということでございます。「国道軸」でもございます。また、ですね兵庫県大〜阪府眺めて見ますと、中国縦貫道が宝塚市以東、交通渋滞が慢性化しております。こういうことを考えてまいりますと、開発を含めてですが、兵庫県といたしましては必要不可欠な路線だとこういうふうに認識をしておりまして、地元県市上げて、国あるいは関係機関などに積極的にその実現に向けて要望活動を展開しております。
 宝塚新都市計画は、第2名神高速道路の整備を前提といたしまして、玉瀬第3クラスターの整備にとりくむ方向で、今後も地元の市あるいは地元の対策協議会とよく協議を行いながら、姿勢の点では慎重な姿勢をもって、計画の推進に取組みたいと考えております。

見込みの無い「物流拠点」計画

■質問■ねりき委員:必要不可欠ということなんですが、例えここに高速道路ができたとしてもインターチェンジは地元負担にならざるを得ないという状況があります。
 「物流拠点」というのも、「玉瀬第3クラスター」の一つの柱になっているんですけれども、中国縦貫の近くに東條の「インターパーク」という都市基盤整備後段が開発した事業用地がありますけれども、ここはですねインターチェンジを造るのに約40億円かかったと言われております。実際に平成10年度から事業用地を売り出しているわけですが、今年の9月時点でまだ売れているのは3件ほどなんですね。
 そういった点からも、「物流拠点」という意味でも、高速道路ができたとしても莫大な地元負担があるという点でも、さらに財政の悪化が深刻になるということが見込まれるわけですけれども、こういった点を考慮しても、地域整備事業そのものがなかなか他のところですね、東播磨にしても播磨の科学公園都市にしても「売れていない」という状況から見てですねやはりこの新都市計画は一旦凍結をすると、白紙に戻すということが求めれらていると思うんですけれども、管理者いかがでしょうか。

▼答弁▼岸田室長:「玉瀬第3クラスター」におきます物流産業拠点についてですが、昨年以来検討を行っておりまして、その中で関西の大都市との近接性でありますとか、空港や港湾など国際交通結節点との近接性、また阪神間の大消費地の後背点に立地しているなど、「物流産業拠点としてのポテンシャルが企業に評価される」ということが調査の中で結果として得ております。
 引き続き、この物流産業拠点につきましては、民間流通業からのヒアリングを行うなど需要把握に勤めるとともに、具体の土地利用につきましても検討を進めまして、計画の実現性を高めていきたいとこのように考えております。
 また宝塚北部地域ですが、当初昭和60年代の始めに600ヘクタールに近いゴルフ場が新たに計画されるなど、非常に開発の圧力が高かった地域で、公社が土地を先行的に取得することによりまして、自然破壊の防止にも一定の成果を上げたものと考えております。
 また、平成2年には地元からも適正な土地利用を図るように要請も受けておりまして、そのような中で県で宝塚新都市の整備にすすむということになったところでございます。
 現在、先ほども申し上げましたようなかたちで検討しておりまして、宝塚北部地域のすぐれた立地特性でありますとか地域特性を生かしたまちづくりを進めますと、物流拠点でありますとか生産拠点等の需要が見込めるものというふうに考えております。
 現在、玉瀬第3クラスターの整備に取組む方向で検討を進めておりますが、これらの検討結果も十分踏まえながら、引き続き検討を慎重に進めてまいりたいとこのように考えております。

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