2008年度予算編成にあたっての重要政策提言
- ムダをなくし効率的な、住民本位の行財政確立のために
- 県民のくらしと福祉を第一にする県政へ
- 少子化対策の強化について
- 大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ
- 憲法と平和を守る県政へ
- 住民本位の震災復興・自然災害予防対策等の強化のために
- 真の地方自治・地方分権のために
- 地域経済活性化のため、農林水産業、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化を
- 環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために
- 子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を
- 文化・スポーツの振興のために
- 警察行政について
7月29日投票でおこなわれた第21回参議院選挙では、安倍自民・公明政権は歴史的な敗北を喫しました。その原因は「消えた年金」「政治とカネ」やあいつぐ閣僚の暴言などいわゆる「逆風三点セット」にとどまらず、庶民には増税、大企業や大資産家には減税という逆立ち政治、格差や貧困の広がりへの国民の大きな怒りと批判の結果です。また「戦後レジームからの脱却」をスローガンに戦前の国体と侵略戦争を肯定し、憲法改定で「海外で戦争する国」づくりに対し、国民はノーの審判を下したのではないでしょうか。
県政もこの国民の審判に無関係ではありません。県民には定率減税の廃止、配偶者特別控除や老年者控除の廃止、公的年金等控除の縮小に加え、県民緑税など新たな県民税が創設されました。増税に伴い介護保険料や国民健康保険料など社会保険料も、県営住宅の家賃や保育料も連動しての値上げになり、増税と負担増は県民の暮らしを大きくおびやかしています。その上、知事は政府税制調査会の委員として、国の庶民大増税計画を推し進めてこられたわけですから、その責任は重大です。
知事は「元気ひょうご」を標榜されています。たしかに大企業には景況感がありますが、県下の中小企業、とりわけ小規模事業所や個人経営では倒産・廃業が増え、商店街の疲弊も含め、コミュニティや地域経済・社会に悪影響をおよぼしています。
雇用でも、松下プラズマディスプレイへの雇用補助金問題をはじめ、コラボレートやフルキャストなど、県下でも派遣、請負、違法な「偽装請負」など、若者を中心に結婚も子育てもできない、将来展望がもてないなど不安定雇用の増大が大きな社会問題となっています。正規職員でも成果主義賃金などの導入で人間らしく働くことができません。大企業や一部の金持ちだけが「元気なひょうご」でいいのかが問われています。いまこそ県民の暮らしを応援する県の役割が重要になっています。
ところが県は、国の「地方公共団体財政健全化法」による新たな基準で「集中改革プラン」を上回る行革を押し付けようとしており、県は7月末、新たな「行財政構造改革」で一般事業や職員の3割削減をおこなうとしています。一層の住民サービスの切り下げと負担増、職員の削減と労働条件の切り下げ、公営企業の民営化・撤退が打ち出されることが危惧されるところです。
県民の福祉削減でなく、県債を増大させる原因となったムダな大型開発をこそ削減すべきです。
本来、地方自治体は「住民の福祉の増進をはかる」ことを第一の仕事とするものです。県民の暮らしがたいへんなときだからこそ国に対しその責任を果たすよう求めると同時に、防波堤となって県民の暮らしと平和を守るため、地方自治の本旨に立ち返りその本領を発揮すべきときです。
日本共産党県会議員団は、2008年度予算を真に県民のための予算とするため、179項目による「重要政策提言」を行うものです。
第1.ムダをなくし効率的な、住民本位の行財政確立のために
県は、本年6月に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」によって「健全化判断比率の内容によっては、早期健全化の基準を上回ることが危惧される」として、「行財政全般にわたるゼロベースでの総点検を実施し、新たな行財政構造改革推進方策の策定にむけた検討を進める」とし、国による自治体への介入を容認するだけでなく、これを期に、人員の大幅削減と一層の住民サービス切捨て、民間委託化、ゼネコン型公共事業の温存・重点実施の行政に舵を取ろうとしている。 しかし、この県の方向は、以下の点で大きく誤っており、県民無視で、あらたな「県行革」をすすめることは、絶対に許されない。
第一の誤りは、多額の起債の真の原因と責任を覆い隠し、ごまかしていることである。 大型公共事業は、現在でも事業費の95パーセント以上が起債でまかなわれている。多額の公債費となっている最大の原因は、わが党の指摘にもかかわらず、この間、政府がアメリカに約束した公共事業600兆円推進施策のもとに、県が率先して公共事業を推進してきたことこそにある。この原因と責任を総括・反省することが必要である。
第二は、「震災での復興事業での起債が、県の公債費増大の理由だ」という県の誤った宣伝である。これも事実と異なる。県が震災復旧・復興事業として実施した多くは、「創造的復興」と称して、神戸空港などをはじめ、震災前から計画されていた大型開発事業や多核型ネットワーク構想事業である。被災者からの切実な要求であった住宅再建・生活再建への公的支援には背を向け続けたのが「復興」の実際の姿であり、被災者の生活支援を言えるものは全体の2.3パーセントにしか過ぎなかった。公共事業偏重の県政のゆがみが、震災復興施策をも歪めたのである。 被災者の生活復興には背を向け続けながら、一方で震災とは関係ない大型開発をすすめてきたあげくに、「震災のために借金が増えた」と、住民サービス切捨てを進めることは被災者と県民への二重三重のごまかしである。
第三の誤りは、自治体の本来の仕事・役割を投げ捨てることである。小泉から安倍内閣へと継承された、「構造改革」や「三位一体改革」路線は、県民負担増や、新たな格差拡大と貧困化を進め、県民を苦境に追いやった。さらに負担増と住民サービス切捨てを進めることは、悪政の防波堤となるべき自治体の役割を放棄するものであり、到底許されない。 よって、行財政改革の総点検と検討の方向は、何よりもまず、悪政の防波堤としての自治体本来の立場に立ち、先に指摘した県がとってきた施策の誤りを全面的に明らかにすることが不可欠である。その上に立って、ムダをなくし効率的な、住民本位の行財政確立とともに、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)という本来の地方自治体の役割を拡充させることを両立させるものでなければならない。
- 「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」によって、四つのうちのひとつでも早期健全化判断基準を上回れば、健全化計画の策定義務付けなど、財政再生団体になる以前から国への報告義務付けなどがされ、それを怠れば、違法として国が自治体に介入できるなどというのは、憲法の定める地方自治の原則に反するものである。
- 財政健全化を示す指標を公表し、議会に報告することは、住民の監視を強める上で必要なことだが、その指標を理由に国が介入するべきでなく、自治体の判断で自主的に財政健全化が行なわれるべきである。地方自治への介入を容認する姿勢は撤回し、国による自治体への介入に反対すること。
- 国の介入の根拠となる基準が政令にゆだねられているが、総務省の定める全国一律の基準で早期健全化計画の策定などを義務付け、自治体の生殺与奪を行政府の恣意的判断にゆだねるなどは許されない。地方自治を守る立場からも全国一律の基準を一方的に決定しないことを直ちに国に求めること。
- 本県の県債残高の多さは、阪神淡路大震災関連の事業であるが、大規模自然災害の発生は、自治体の責任ではなく、大規模自然災害による復旧、復興事業に関わる事業は、本来国の責任で行なわれるべきものである。これらの起債は、「財政健全化に関する」判断基準から除外することを、国に強く要請するとともに、全国の被災府県、市町と共同して国に要請行動を行なうこと。
- 県が今行なおうとしている行革の議論は、事態をできるだけ誇大に描き、県民から冷静な判断を奪おうとするものといわざるを得ない。なぜなら、震災関連の起債が、判断基準から除かれれば、県債残高の状況は、国の基準にまったく抵触しないことが考えられるが、このことを覆い隠して、今にも赤字再建団体になるかのごときに宣伝し、県民サービス切捨ての行革を進めるようとしていることは許されない。直ちに改めること。
- 一方、県として、「自律的に」点検した際、県債残高全体の4分の1以上を占めている震災関連県債の多くは、被災者、被災業者の生活・住宅・事業所再建とは無関係なものである。例えば、住民の反対を押し切って震災2ヵ月後に強行決定して実施した大型再開発事業は、震災前からの計画を、「創造的復興」の名で強行したものである。「地方の自己規律による財政健全化」というのであれば、県債残高を増大させた大規模開発事業こそ、最優先に、総括と反省が求められる。
- 悪政の防波堤としての自治体の立場から、ムダをなくし効率的な、住民本位の行財政確立とともに、県が、「住民福祉の機関」としての本来の役割発揮することを総点検の視点とすること。
- 国による住民税増税や社会保障切捨て、改悪などで県民の生活は貧困化と格差増大でますます深刻となっているが、県民を悪政から守る自治体の取り組みがますます重要となっている。しかし、県下の市町の財政状況や力量に違いがあり、すべての県民の「住民の福祉の増進を図る」ためには、県の果たす役割は大きい。「役割分担」「二重行政」などと言う理屈で県の役割放棄は許されない。逆に、県が、県民の福祉増進の底上げ役を果たす責任はますます大きくなっており、この立場から住民の福祉の充実改善を図ること。
- 指定管理者制度や市場化テスト、行政法人化などは、自治体を市場の論理にゆだね、行政の公的な役割を後退・放棄する危険を内包しているものであり、その実施を行わないこと。
- 不要不急の大型公共事業や大型開発の事業を抜本的に削減し、見直すとともに、住民の暮らしを守る分野は充実を図ること。その立場から事務と組織のあり方や職員配置を検討すること。
「受益と負担の適正化」の論理は、自治体の「住民の福祉の増進を図る」と言う本来の役割から外れるものであるが、「受益と負担の適正化」というのであれば、採算の取れない有料道路や毎年赤字を税金で補填し続けている但馬空港などこそ、再検討をするべきである。
- ボランティアやNPOは、行政の下請け機関や補完物ではなく、ましてや、国や自治体の責任を免罪するものであってはならない。行政の公的責任を代替させるような、ボランティアやNPOへの仕事の押し付けをしないこと。
- いま生活保護の改悪など、国の悪政に対して、生活と基本的人権を守るための社会的連帯とその実現を求める市民の動きが強まっている。そのような市民と同じ姿勢にたって、国にたいして社会保障等の充実を強く働きかけること。
- 県民に資料を全面公開し、県民参加で広く検討を保障すること。
第2.県民のくらしと福祉を第一にする県政へ国の税制改悪の影響により、非課税世帯があらたに課税対象となるなど、課税強化が強行され、県民のくらしは一層苦しいものとなっている。 県民が安心して暮らせるため、あらたな「県行革」による「事務事業3割削減」という県民サービスの削減でなく、くらし、福祉・医療の充実を図ることこそ切実に求められている。
- 安心してかかれる医療のために
- 診療科の閉鎖など、住民・患者の命と健康を脅かしている医師不足の解決のため、国に対して医学部の定員増など医師数を抜本的に増やすことを要望し、深刻な小児科・産科については、県として市町や大学病院と協力して、必要な医師数を確保できる特別の体制をとるなど、問題解決に全力をつくすこと。
- 県立病院はもとより、国立・公立病院を地域医療、住民福祉の拠点として支援すること。また、「集約化」案を、住民合意なく、押し付けないこと。
- 県立病院を、「行革」対象にせず、リストラや独立行政法人化をおこなわないこと。
- 1次・2次医療を、一元的に受け入れることができる小児救急医療体制の整備を急ぐこと。
- リハビリを続ける患者の生活能力を奪うことになるリハビリの保険診療日数の制限について、国に中止を求めること。
- 病院を追われる高齢者や大量の介護難民を生み出す危険のある療養型病床の大幅削減を行わないこと。
- 子育て支援の重要な柱である乳幼児医療費公費助成は、通院・入院とも義務教育終了(中学校卒業)まで無料化し、「こども医療費公費助成制度」として発展させ、所得制限もなくして完全無料化を図ること。
- 老人医療費助成、母子家庭医療費助成、重度心身障害者医療費助成の各事業は2005年7月以前の助成水準を復活すること。
- 後期高齢者医療制度について、以下、国や広域連合に、働きかけること。
- 国に、撤回も含めた抜本的見直しと、そのための財政支援を行うことを求めること。
- 高齢者の生活実態に即して、支払い可能な保険料とすること。
- 独自の保険料減免制度をつくること。
- 保険料の滞納を理由にした「資格証明書」や「短期保険証」の発行はしないこと。
- 国民健康保険について
- 県の市町に対する国民健康保険の助成金を増額すること。
- 保険料の滞納を理由とした「保険証未交付」や「短期保険証」「資格証明書」の発行でなく、全ての加入者に正規の保険証を交付すること。特に、母子世帯、乳幼児のいる世帯には、正規の保険証を発行すること。
- 国保法第44条にもとづく医療費(一部負担金)の減免制度を県内全ての市町で実施するよう指導すること。
また、医療費一部負担減免制度を周知徹底すること。
- 障害者自立支援法について
- 「原則一割」の応益負担が利用者にも施設にも大きな負担となっている。「応益負担」の撤回など、障害者自立支援法の改善を国に求めること。
- 「一割負担」の県独自軽減制度の充実を図ること。
- 小規模作業所への県の支援は、引き続き行うこと。
- 安心できる介護保険制度にするために
- 県独自の保険料・利用料減免制度を創設すること。
- 要支援1・2、要介護1の高齢者の介護予防福祉用具の貸与の打ち切りなどによる「介護とりあげ」をさせないよう、県独自支援を行うこと。
- 国の介護保険制度の改定による「要支援1」「要支援2」など予防給付事業において家事サービス等の利用が抑制、縮小にならないようにすること。ヘルパーの訪問介護を拡充し、負担の軽減を図ること。
- 予防給付における介護保険除外の事業を市町が実施する場合県の独自補助を実施すること。
- ホテルコスト、食費の全額自己負担の導入により支払い困難な施設利用者に対して支援策を講じること。
- 特別養護老人ホームの入所待機者の解消のため、必要な施設の増設を引き続き行うこと。
- コムスンの問題については、介護サービスの受けられない利用者がでないよう、万全の対応を図ること。また、介護事業者の不正にかんするチェックについて、体制やチェックのあり方の改善をすること。
- 児童の一時保護所を各子どもセンターに設置するとともに、子どもセンターの専門職員の増員をおこなうこと。また、民間児童養護施設への支援を強化すること。
- DV対策は、専門職員を増やすなど、被害者自立のための住宅や仕事確保など支援体制を強化すること。同時に民間シェルターへの助成を拡充すること。
- 年金問題について、以下の点を国に強く要望すること。
- 「消えた年金」の解決のため、一日も早くすべての年金納付記録を通知すること。
- 受給受給条件の期間を25年から、せめて10年に短縮すること。
- 最低保障年金制度を導入し、低年金・無年金者を解決すること。
- 年金財源の国庫負担の増額を、消費税に頼らず、行うこと。
- 生活保護制度の老齢加算や母子加算の削減を中止するよう国に求めること。
- 多重債務者にたいする、きめ細やかな相談活動を、市町とともに構築し、民間支援団体からもよく意見を聞いて、生活資金の融資制度の改善なども含めた抜本的な支援策をつくること。
第3.少子化対策の強化について本県における出生率は、6年ぶりに前年を上回り1.28となったものの、全国38位であり、依然として少子化は深刻な問題となっている。今こそ安心して子どもを生み、育てることのできる条件づくりが求められている。 なかでも、不安定雇用の増大が、インターネットカフェ難民、ハンバーガーショップ難民など、新たな貧困層をつくりだし、「結婚できない」「子どもを産みたくても産めない」若年世代をますます拡大させている。しかし県は、松下プラズマディスプレイ工場への雇用補助にみられるように、むしろ不安定雇用を増やし、少子化対策に逆行している状況をつくり出している。 青年の雇用の改善をはじめ、少子化対策への本腰を入れた以下の取り組みを求める。
- 子育て世代の経済的負担の軽減のため、こどもの医療費を、義務教育を終えるまで、通院も入院も、所得制限を撤廃して完全無料化すること。
また、保育料を軽減する制度を創設し、教育の無償化をすすめること。
- 産科医不足を解消し、出産費用を補助する制度を創設し、どこでも安心して出産できる医療体制を確保すること。
- 保育所待機児童を解消するため、保育所を増設すること。
認定こども園制度については、すくなくとも従前の保育水準を維持するため、補助金を含めた支援の強化をすること。
- 学童保育(放課後児童健全育成事業)について、小学校高学年や障害児の受け入れ、施設の充実、父母の負担軽減などの取り組みをすすめること。
- 新婚世帯、子育て世代に対する民間住宅家賃補助制度を創設し、県営住宅の入居優先枠を大幅に増やすこと。
- 若い世代の雇用において、不安定雇用を減らし、正規雇用の拡大や仕事確保のための施策を抜本的に強化すること。
最低賃金を、結婚できるような水準にまで、抜本的に引き上げるよう、国に強く働きかけること。
第4.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ
- 来年度の予算編成に当たっては、公共事業については、あらたな「県行革」で議論されている「マイナス3%」という国の概算要求通りではなく、ムダな大型事業を中止し、生活密着型中心の事業に転換すること。
- 兵庫県の入札は、5億円以上の契約だけでもここ3年間の平均落札率97%、100%の落札もあるなど、改革が遅れてきた。
全国的にも「予算2割以上を縮減」などの実績をあげている「入札改革」を、兵庫県でも抜本的に導入し、談合防止はもちろん、公共事業の適正価格実施で行革を行うこと
- すべての事業を、原則一般競争入札でおこなうこと。
- 県幹部職員の天下りを全面禁止すること。
- 知事として、ゼネコンからの選挙応援や献金を受けないこと。
- 「公共事業等審査会」は、本来の役割を果たすことができるよう、公募委員の参加や傍聴など県民に公開するとともに、住民からの対案提出の機会の保障など、抜本的改善を行うこと。
- 県営水道事業にについて
県の計画給水量は750,700立方メートル/日、申込水量は平成19年度でも377,480立方メートル/日であり、過大な水あまりである。一方、県水の給水料金は平均153円で、全国で5番目に高く、工業用水は34位と安い。工業用水を値上げし、水道料金を値下げすること。
- 企業庁地域整備事業を、県民誰もが理解できるような会計制度にし、各プロジェクトごとの資産負債状況や収益収支状況の公表を行うこと。これ以上の拡大をせず、播磨科学公園都市、ひょうご情報公園都市、宝塚新都市等は、抜本的見直しを行うこと。
- 道路事業について
- 6基幹軸などの高規格道路中心の国土政策を抜本的に見直し、バスや鉄道など公共交通への利便性を高めるための交通政策に大きく転換すること。
- 道路特定財源の一般財源化によって、道路・橋などの点検・補修の予算を増やし、不要・不急の道路計画を見直すこと。
- 播磨臨海道路建設について
県は、国道2号バイパスの渋滞解消などを目的として播磨臨海道路を建設しようとしているが、他の渋滞解消策の検討を行わず、全体事業費も明らかにしないですすめている。 地球温暖化や人口減少社会になるなか、車に依存しない社会づくりの世界の流れに逆行するものである。現行道路の渋滞箇所の問題点を調査するとともに、今後重要となる道路補修とあわせて、改善・改良を行い、山陽道などへの振り替えも含めて既存道路を活用し、莫大な費用を要する播磨臨海道路の建設計画は、ただちに中止すること。
- 投資規模が莫大で採算見通しもない第2名神高速道路や紀淡海峡連絡道路建設計画を中止し、その建設推進をめざす「道路建設推進協議会」への参加や税金負担をやめること。
- 空港事業について
- 神戸空港や関西国際空港2期など、採算の見通しもなく環境に甚大な影響を与える空港への補助金支出や出資をやめること。
また、神戸空港と関西国際空港を結ぶ海底トンネル構想は中止をすること。
- 開港から13年前を迎えた但馬空港は、毎年4億円を超える税金を赤字補填や維持・管理に費やし、県民負担を強いている。これ以上の税金投入を行わず、新たな負担となる東京直行便や滑走路の付け替え・延長計画をやめること。
- 武庫川治水について
- ダムによらずに、流域の総合治水によって、武庫川の治水計画をすすめるとの、昨年の武庫川流域委員会の提言を生かすために、基本方針案および整備計画案立案においても、ダムでなく流域の総合治水を最優先課題に位置づけること。また、過大な流出見込み、過小な河道の流下能力などの問題点を再検討した内容に見直すこと。
- 現在県がすすめている貴重植物などの移植実験などは、武庫川ダム建設前提の環境調査で、これは、当面の整備計画ではダムを建設しないとの流域委員会の提言に反するものであり、これらの調査をただちに中止すること。
- 命を守ることを治水の最優先とするためには、堤防の決壊は絶対に起きないようにすることが不可欠であり、堤防を越える洪水や堤体を削り取る洪水に対して、安全な堤防にするための対策を直ちに実施すること。
- 河川整備・ダム事業について
- 但馬・丹波地域で進めている「生活貯水池ダム」や西播磨の金出地ダムなどの計画は、いずれも流域全体の総合治水の検討が不十分であり、計画を中止すること。
- 河川整備のあり方については、堤防の補強、危険箇所を改修して治水レベルをあげること。また、生態系を保全するなど、環境と安全に配慮した事業とするなど、抜本的に改めること。
- 県営住宅について
- 「ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画(改訂)」による2000戸削減でなく、県民のニーズに応じた増設を民間借り上げを含めて行うこと。
- 県営住宅の家賃減免制度の拡充すること。
- 明舞団地での民間の指定管理者により、居住者からの改修要望に応えないなど、住民サービスが後退している。指定管理者による管理運営の拡大について再検討を行い、県が公的な責任を果たすこと。
- 一般会計の繰り入れなどによって県営住宅の空家補修予算を大幅に増やすこと。部分改築・改修、エレベーターの設置など積極的に行うこと。
- 県営住宅の設備補修区分を抜本的に見直し、耐用年数が過ぎた老朽化した設備などは県の責任で補修するように改めること
- 高齢者や障害者も住みやすいバリアフリーのまちづくりの促進
- 生活道路を整備するための予算を大幅に増額すること。安全な歩道整備、自転車道整備など交通安全対策やバリアフリー対策を中心とした道路行政を実施すること。
- 鉄道駅舎のバリアフリー化の年次計画を早急に策定し整備すること。
- これ以上の大規模な県立都市公園については、いったん凍結し、必要性について、県民参加で再検討すること。
- 県下の貴重な建築・土木遺産の保存をはかること。
- JR列車事故など交通安全対策について
JR尼崎脱線事故についての事故調査委員会の最終報告がだされた。「日勤教育」による事故の誘発や新型ATS整備を怠ったことなど、JR西日本が、安全よりも運行を優先させ、「もうけ第一」のダイヤ編成をしていたことが指摘された。しかし、ATS設置の義務化をしなかった国の責任を問わないことや、被害者全員からの聞き取り調査などが不十分である。 また、JR西日本は、自らの調査結果について公表し、誠意をもって説明する姿勢ではなく、真の反省がされていない。 今回の事故被害者対策に万全を期するとともに、再発防止策や被害者の立場にたってJRへの働きかけを一層強めること。
- 犠牲者の遺族や負傷者・家族が補償を求めて交渉を行う際、被害者の立場に立って誠意を持って対応すること。また、JRによる被害者への納得のいく説明会を行うこと。
- 反省のないJR西日本に対して安全第一・人命優先とするよう、当面、以下の4項目を強くもとめること。
- 新型ATSを早急に全施設に設置するなど、安全対策を最優先に行うこと。
- 一部実施された「ダイヤ改正」は不十分であり、全線にわたり「安全優先のダイヤ改正」を早期に実施すること。
- 人員削減計画を止め、安全第一のために必要な職員配置をおこなうこと。
- すべての駅・ホーム、踏み切り等の安全点検と、障害者など「交通弱者」の声を反映した安全対策を実施すること。
- JR以外の県内すべての鉄道事業者に対して、踏み切り施設等の安全点検と、「安全第一」を実現するための具体的な対策を実施するよう強く求めること。
第5.憲法と平和を守る県政へ
「戦後レジームからの脱却」をとなえ、アメリカと肩をならべて戦争できる日本にするために改憲へとひた走る安倍内閣の姿勢は、先の参院選で国民の厳しい審判を受けた。また、アメリカ下院で「従軍慰安婦」決議があがるなど、過去の侵略戦争を肯定・賛美する「靖国派」・政府首脳の言動は、アジアのみならず、国際社会全般から厳しい批判を浴びている。県民の命を守る責務を持つ県として、また「アジア・太平洋時代にふさわしい国際交流」をとなえている県として、過去の戦争への反省に立って、憲法と平和を守り、憲法をいかした県政を行うことが求められている。
- 憲法9条を守り、改憲に反対する立場を明確にすること。
- 首相および閣僚の靖国神社参拝に反対するとともに、「日本の侵略戦争・植民地支配は誤りだった」との明確な姿勢に立って、アジア諸国等との友好施策をすすめること。
- DVDアニメ「誇り」(日本青年会議所作成)の持込みなど、教育現場に侵略戦争賛美の歴史観をおしつける動きに反対し、憲法をいかした教育をすすめること。
- 「従軍慰安婦」問題、強制連行・労働問題、中国残留日本人問題、シベリア抑留者、原爆・大空襲などの民間被災者問題など、未解決の戦後補償問題について、国の責任を明確にするよう働きかけ、被害者の立場に立った解決に向けて尽力するとともに、県内の被害者に必要な支援をおこなうこと。
- 戦跡の保護など、戦争の加害と被害の記憶を後世に伝えるための施策を行うこと。
- 自衛隊が住民を監視・情報収集し、県下でも住民運動が監視リストに載せられていた問題について、県民の人権、民主主義を蹂躙する重大問題として、県として厳しく抗議するとともに、このようなことが二度とないよう申し入れること。
- 地方自治に反する「国民保護法」に基づき、県民の人権を大幅に制限し、戦争にまきこむおそれのある兵庫県「国民保護計画」は凍結すること。
- 県として「非核兵庫県宣言」を行い、核兵器保有や核開発に反対する意思表明をするとともに、県管理のすべての港湾に非核「神戸方式」を適用し、非核証明書のない軍艦の入港を認めないこと。
- 米軍ジェット機の低空飛行訓練はただちに中止するよう強く求めること。
また、違憲の日米共同演習をはじめ、県民を危険にさらす自衛隊の軍事演習・訓練は中止を求めるとともに、「展示訓練」など、利用目的から逸脱する県管理の港湾への自衛隊艦船入港を拒否すること。
第6.住民本位の震災復興・自然災害予防対策等の強化のために
震災から12年、全国的にもこの間に新潟中越沖地震や台風災害など災害が発生し、被災者の生活支援や住宅再建への支援、住宅の耐震化支援や被災高齢者、低所得者などに対する支援対策の充実が求められている。 本県においても、いまだに再建できていない被災者が残されており震災復興などの被災者支援対策の継続が求められている。 また、防災計画は災害が起きたときの対策だけでなく、東南海、南海沖地震など今後の災害による被害を最小限におさえる対策をより重視するものに見直すことが必要である。
- 被災者生活再建支援法の2008年の見直しにむけて、住宅本体への支給や年収要件の緩和などの提案だけではなく、支給金額を500万円程度に大幅に増額することを含めた抜本改正となるよう、大震災被災県の役割が強く求められており、知事を先頭に県民運動を起こし国に強く働きかけること。
また、被災者への県単独の被災者上乗せ支援金(100万円)を復活し、さらに充実すること。
- 震災被災県でありながら住宅や小学校、中学校などの耐震化が全国的に遅れており、抜本的な対策が求められている。
- 小中学校は、避難所にもなり児童生徒の安全のみならず県民の安全にかかせないため、学校の耐震化を市町にまかせにせず県としても支援を強めること。
- 住宅の耐震化促進のための「わが家の耐震改修促進事業」の実施にあたっては、「兵庫県住宅再建共済制度」の加入を補助要件から外すこと。
また、民間住宅の耐震診断を無料にし、耐震化補助を100万円程度に拡充するなど、耐震化を抜本的に促進すること。
- 震災復興対策事業の高齢者見守り体制の改善や緊急災害復旧資金融資などの生活再建支援、中小企業支援を維持、拡充すること。また、災害援護資金貸付金の支払い免除要件について、借受人、保証人ともに破産している場合、または著しく生活に困窮し徴収が困難な場合も支払い免除対象になるよう国に要望すること。
- 自然災害対策については、地域防災計画を予防・減災に重点をおいた計画に抜本的に見直し「災害予防年次計画」をたて、東南海・南海地震による津波対策、高潮等の予防および避難対策、災害情報内容と伝達の改善、コミュニティー単位の防災計画、資機材整備など予防と財政支援をおこなうこと。
第7.真の地方自治・地方分権のために
小泉・安倍首相のもとで、「地方でできることは地方に」、「三位一体改革」として、サービス低下、自治体のリストラがすすめられてきた。これを「地方分権」の名ですすめてきたことは、重大な誤りである。 今後「地方自治体再建法制」や「道州制」の議論がすすむなかで、自治体そのものの意義・意味が問われる時期となっている。広域行政としての県が県民や市町にとって、国の悪い政治を押し付ける機関でなく、むしろ自公の暴走政治から住民を守る防波堤としての役割を果たすことが、これまでになく求められている。
- 義務教育国庫負担制度や生活保護費など、住民の福祉や教育サービスの削減につながる国庫補助負担金制度の縮減に反対すること。
- 地方自治破壊につながる「道州制」に反対を貫くこと。新たな市町合併の押し付けをしないこと。
- 「三位一体改革」に反対し、地方交付税の財源保障機能と財政調整機能を堅持し、削減でなく増額を国に要求すること。
- 県は「参画と協働」をすすめるとしているが、これまでも、県「行革」への反対意見や、「高校改革」問題、のじぎく療育センターの縮小・廃止問題など、県の意向に沿った意見は取り入れるが、反対の意見は無視する姿勢をとっており、「参画と協働」とは程遠い姿勢である。これを改め、真の県民に開かれた県政、県民が主人公として参加する県政に改めること。
第8.地域経済活性化のため、農林水産業、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化を
T雇用対策について
- 県の「多様な働き方」を推進する方策を改め、不安定雇用の解消、とりわけ若者の正規雇用をすすめるよう県下の企業、事業所に働きかけること。人間らしく働ける職場とするため県下の雇用の実態調査を独自に行うこと。
- 県の新規誘致企業の雇用は原則正規雇用とするよう働きかけること。また「新事業・雇用創出型産業集積促進補助金」の対象は正規雇用のみに限定すること。
- ネットカフェ難民など家賃が払えない青年に、家賃補助制度や、生活貸付金制度また、有給の職業訓練制度や訓練貸付制度の創設を国に求めるとともに、県としても制度を設けること。
- 成果主義賃金、違法なサービス残業をやめさせるとともに、ホワイトカラーエグゼンプションの法制化に反対し、生活できる賃金とするため、少なくとも時給1000円の全国一律最低賃金制の確立を国に求め、県下企業にも実施を強く求めること。
- 県職員の採用にあっては、原則正規雇用とすること。また、現在の臨時職員を正規職員へ登用をはかること。臨時雇用については、少なくとも時給1000円以上とすること。
- 労働者の権利と雇用主の義務を知らせる広報・教育活動を抜本的に強化すること。
U中小商工業支援について
- 大企業やナノ、情報通信などの成長産業偏重でなく、事業所数で99.3%、従業員数でも81.6%を占める中小商工業や地場産業を応援のため、中小企業予算を抜本的に引き上げること。
- 大企業の景況感とは対照的に老舗の商工業者もふくめ、中小企業・商店などの倒産・廃業がとりわけ小規模ほど増大している。地域の経済活性化や街づくりの観点からも、中小・商工業者の重要な役割を認識し、現状を業種別、地域ごとに実態調査を行うこと。
- 商店街の活性化のために、公営住宅や福祉などの公的施設を組み合わせまちづくりを促進し、生鮮品の店の確保や空き店舗活用による子どもや高齢者の居場所づくりなどみんなが楽しみながら買い物ができる商店街づくりに支援をおこなうこと。
- 大型店の出店や退店を規制し、地域貢献など社会的責任を果たすよう指導すること。
- 地域経済を振興させるため、商工会、商工会議所、中小企業同友会や民主商工会など関係団体が知恵を出し合い、話し合える場づくりを県がイニシアティブをとって行うこと。中小企業・地域経済振興条例を制定すること。
- 制度融資を借りやすいものにするため金融機関まかせでなく、県が相談から融資まで親身になって対応すること。「責任共有制度」で現行と比べ不利益がないようにすること。保証協会への県の出えん金を増やすこと。
- 住宅リフォーム助成制度、小規模工事登録制度を県として創設し、中小建設業者の仕事おこしをすすめること。公共工事の分割発注を増やすなど中小企業・業者への発注を増やすこと。
- 県立工業技術センターは、研究内容の重点化や特化だけでなく、真に中小企業の技術開発を支援するものとし、拡充すること。そのため基礎的研究部門も含め、職員の拡充を行うこと。
V観光施策の充実
- 兵庫県で唯一の世界文化遺産「姫路城」をその値打ちにふさわしい位置づけを行い、国際観光対策を行い、国内はもとより国外からの観光客誘致をすすめること。
- 観光振興の取り組みにあたっては、地域の魅力を最もよく知っている地域住民の人たちの声を良く聞いてすすめること。
- 県の受注を大手観光業者だけでなく、地元の中小旅行業者にもまわすこと。
W農林水産業について
- 農業を県の基幹産業と位置づけ、農業土木を抜本的に見直し、農業生産支援の予算とすること。
- 国内農業を犠牲にする無制限な輸入自由化政策をやめ、「食料主権」を保障するルールある貿易をするとともに、少なくとも2015年食料自給率45%達成のため実効ある方策を進めるよう国に強く求めること。
- 大規模農家のみを対象にする品目横断対策は中止し、家族営農も重要な担い手と位置づけ、農産物の価格保障や所得補償を組み合わせるなど、農業をつづけられる担い手支援策を国に求めるとともに、県としても独自の支援策を講じること。
- 耕作放棄地の拡大を防ぐためにも、中山間地域直接支払交付金制度の拡充や対象の拡大を国にもとめるとともに、知事特認制度の拡充で交付金の上乗せや地域拡大をはかること。
- 都市近郊の農業と耕作地を守るため、生産緑地を全県に拡大し、要件緩和をおこなうこと。また、株式会社の農地取得や利用自由化でなく、耕作者の権利を優先し農地の売買や転用を農業委員会の元におく現行農地制度を維持すること。
- 「地域循環社会の再生」をめざし、地域流通の構築と「地域の食の自立」地産地消をいっそうすすめること。地元産の農水産物を利用し、県下すべての小中学校での学校給食を実施のため、具体的な計画を持ってすすめること。
- 米国産牛肉の輸入は、対日輸入条件が厳格に守られるまで中止を国に求めるとともに、BSE全頭検査を維持し、県への補助金継続を求めること。県内産牛肉の全頭検査は堅持すること。
- 輸入食品・農産物の安全チェック体制の強化と原産国表示の徹底や、遺伝子組み換え食品の承認検査の厳密化、環境への影響調査・検証を行うよう国に求めること。
- 畜産・酪農農家の後継者不足や経営の安定強化に向けた支援をつよめるとともに、畜産公害抑制と堆肥利用の有機農業推進のため、施設改善や技術・賃金の支援策を講じること。
- 災害を未然に防ぐため、農地、ため池の崩壊や風倒木被害を防ぐ抜本的対策を講じること。
- 林業の振興と森林の多面的な機能発揮のためにも、林業政策の抜本的転換を国にもとめ、除伐・間伐など森林整備の支援・県産材活用促進のための課題解決の実践的研究や取り組みを強化すること。林業労働者の確保と技術の継承をすすめること。
- イノシシ、猿、熊、鹿など、深刻な野生動物の被害をくい止めるための研究を強め、生態系をとりもどす根本的な対策をとること。アライグマやブラックバスなどの外来種の駆除・防止対策を強めること。
- 原油価格の高騰や、輸入水産物の増加で漁業経営が圧迫されている。価格安定対策の強化や、休業・減船補償などで資源管理対策の強化を図ること。ノリの色落ち対策や産業廃棄物の不法投棄防止対策を行うとともに、干潟・藻場の再生などゆたかな瀬戸内海をとりもどすための総合的な事業をすすめること。
- 農林水産技術の向上や生産支援のため重要な役割を果たしている農業改良普及センターをはじめ、各技術センターの基礎的な研究を重視し、人員増を含め一層の拡充をはかること。
第9.環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために
持続可能な経済・社会のために、温暖化ガス削減を実現する対策など地球環境の保全とともに、深刻な社会問題となっているアスベスト対策をはじめ自動車公害等による大気汚染やPCB対策、公害被害者対策などに真剣に取り組む必要がある。
- 神戸製鋼のばい煙、粉塵対策については、健康調査と喘息・がん等の疫学調査を行い、PM2.5の調査も実施すること。また県・市の監視体制を強化し、チェックのあり方を抜本的に見直すこと。
- 石綿(アスベスト)被害対策について
- 石綿新法ができたが、国・企業の責任と負担で、より充実した補償と救済を行うよう国に要望すること。
- 公共施設、特に学校施設に使用されている石綿の完全撤去を徹底するとともに、除去作業にあたっては飛散防止対策に万全を期すこと。
- 除去および石綿使用施設の解体、撤去作業等における点検を強化すること。
- 民間建築物にかかるアスベスト除去費用に対する補助制度を県としてつくること。
- 地球温暖化対策について
「京都議定書」の目標実現のため、温暖化ガス排出量の8割を占める産業・公共分野の削減対策を思い切ってすすめること。
- 自動車NOx・PM法対策について
- 流入規制の徹底と大型車流入制限のためのロードプライシングをさらに強化すること。
- 国道43号、阪神高速神戸線における大型車の通行台数削減を国・阪神高速道路公団に強く働きかけること。
- 中小事業者の負担軽減のための支援対策をさらに強化すること。
- ゴミの減量・リサイクルを市町とともに実践・徹底し、ゴミの増量・大型処理施設を前提とした猪名川流域、北但馬広域、西播磨広域ゴミ処理施設等の建設計画を凍結し、住民本位に見直すこと。
- 「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例」を厳格に実施すること。とくに、排出事業者の責任の明確化、監視・指導体制の強化、企業責任を明確にしたリサイクルの徹底など環境を守るための抜本的な対策を講じること。
- コウノトリの経験は、絶滅後の種の復活の大変さ・困難さをあらわしている。現在、絶滅が危惧されている県下の動植物の保護・保全に、積極的に取り組むこと。
第10.子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を
いじめや不登校など、学校教育の現状は引き続き深刻である。要因は様々だが、教育条件整備に背を向けながら、ゆき過ぎた競争と押し付けの教育をすすめる教育行政のあり方が根底にある。 今こそ憲法の精神と子どもの権利条約を生かし、子どもの確かな学力と豊かな人間性を育む教育が求められている。
- 憲法を生かした教育をすすめること。
- 35人学級を、小学校4年生以上、中学校に広げ、さらに30人学級に拡充すること。また、少人数学級による効果を一層発揮できるようにするための研究、交流の取り組みを行うこと。国に第8次定数改善と少人数学級実施の予算を要求すること。
- 「心の教育」については、内心の自由を尊重し、「愛国心」など個人の内面を学校教育の評価の対象としないこと。
- 全国一斉学力テストについては、子どもたちに競争強化と序列化をもたらすものであり、国にたいし中止をもとめること。すでに実施したテストは、結果を公表しないこと。
- いじめ問題の実態をみえなくさせる「数値目標による管理」をやめること。
- 「高校改革」については、十分に県民の声を反映した取り組みであることが求められる。
- 地元住民の合意が無い、一方的な統廃合や、総合学科や単位制導入、学級数減の強行をしないこと。
- 「高校教育改革」第二次実施計画の策定については、住民が参加せず、非公開の長期構想検討委員会での検討とパブリックコメントだけで、一方的な計画決定をすることは許されない。今後十分な県民参加と議論を保障すること。特に、生徒や父母に大きな影響を与える「通学区の拡大」は、行わないこと。
- 学校運営に関しては、児童・生徒、保護者、教職員、および地域住民の声を十分に反映させること。
- 教育委員会への請願は、教育委員会議の場にはかり審議するよう、ただちに改めること。また、入試制度の変更などの重要なテーマについては、県民の意見をよく聞き、教育委員会の議決事項とすること。
- 日本の教育の異常な高学費は、世界の無償化の流れに逆行するものとして国連からも改善が求められている。無償化のために以下の改善をすべきである。
- 経済的理由で就学困難な児童・生徒を支援するため、就学援助の国庫負担の増額を国に求めること。
- 県奨学金制度については、外郭団体への委託は中止し、手続きの簡素化と給付制度の創設など拡充を行うこと。
- 定時制高校への給食費は、予算を削減せずに、より充実したものにすること。
- 私学助成の増額を行うこと。
- 全ての学校施設の耐震工事を早急に実施すること。期日・目標を明確にして学校施設の改修をすすめること。エレベーターや普通教室へのクーラー設置を推進すること。
- 特別支援教育については、生徒の増加により深刻な問題となっている学校の教室不足や長時間通学を解消するため、保護者の納得できる場所に学校を新設すること。
- 兵庫県立大学の運営については、独立行政法人化をすすめるのではなく、大学の自治を尊重し、公立大学本来の役割を発揮させ、学問と研究の自由を守り充実させること。
- 教員同士を分断する成果主義賃金につながる教員評価制度を、本格実施しないこと。
第11.文化・スポーツの振興のために
文化・スポーツの振興のためには、県民が日常的に文化・芸術を楽しみ、スポーツに親しむことができるような県の支援が必要である。
- 文化・芸術を発展させるために、「文化・芸術振興基本条例」を制定し、県民の文化・芸術活動を保障すること。また、県民が優れた芸術文化を享受できるように、財政支援を含めた鑑賞活動への支援を抜本的に改善すること。
- 県下各地の歴史的・文化的遺産の調査・保存と県民鑑賞の保障をはかること。
- 低廉で使いやすい文化・スポーツ施設を数多く設置するとともに、障害者が気軽に使える施設を整備すること。
- 安全最優先の立場から、学校施設や公園の遊具など、全施設の再点検を行い、安全対策に万全を期すこと。
第12.警察行政について
県民の安心・安全を保障するべき県警察への要望がいちだんとたかまっている。県民の生活を守り、信頼を得るために絶えざる検証と改革を実行し、警察刷新を進めることが求められる。
- 大学院生殺害事件、姫路2女性殺人事件はじめ、全国的にも警察の初動捜査の誤りが重大な犯罪につながっている事件が連続している。あやまりを反省し、教訓化して再発防止を図ること。
- 明石花火大会歩道橋事故をめぐる裁判は終結したが、雑踏警備についての第一義的な責任は警察にあることは明らかであり、今後も引き続きその責務を果たすために全力をあげること。
- 銃器による殺人事件が多発するなど、銃器不法所持をはじめとした銃器犯罪の取締りの強化が強く求められ、県議会でも議決したところである。すでに民事裁判では、暴力団員による銃器犯罪に対する組長責任を問えることが確定しており、暴力団に関わる銃器犯罪では、組そのものの摘発と徹底捜査を行なうなど、壊滅するまで捜査を徹底させるなど取締りを抜本的に強化すること。
- 交通事故対策の強化について
- 信号機の設置を求める住民の声は切実であり、すみやかに応えられるように予算を抜本的に増額すること。歩車分離信号の設置も大いに進めること。
- 生活道路への車の進入を抑える街づくり、交通計画を積極的に進めること。
- 歩行者安全エリアを全県に拡大していくため、今後の計画を早期につくり実施すること。
- 県下の「山口組」を始めとする傘下暴力団員および同準構成員数はこの10年来最大になっており、傷害・暴行、覚せい剤、窃盗、恐喝など、暴力団犯罪も依然として多発し、治安悪化の最大の要因となっており、平穏な県民生活を脅かしている。徹底して取り締まりを強化し、根絶すること。
- 依然として発生している県民の行うビラ配布や署名活動に対する警察の干渉、妨害行為は「言論・表現の自由」を侵害するものである。
警備公安偏重から県民の基本的人権を守り、市民生活を守る本来の警察行政にたちかえること。
- ますます被害が拡大しているヤミ金・振り込め詐欺・架空請求など経済事犯やDV・児童虐待・ストーカー犯罪など生活安全に関わる対策を人的体制も含め充実、強化すること。
- 公安委員会が県警察を民主的にコントロールできるようにするため、独立した事務局の設置や委員の選出にあたって住民推薦や公選制の導入などの改革をすすめること。
- 改正道路交通法にもとづく駐車違反取締りにあたっては、配達業など5分以内にもどることができないなどやむをえない事情がある場合は、配慮を行うこと。
- 交通安全協会等にたいする警察幹部の天下りをやめること。
- 警察関係のみが、昼休み1時間の選択が許されない形となっているが、少なくとも知事部局などと同等の待遇に改善すること。
- 警察職員の不祥事が後を絶たないが、上意下達の一方通行だけの縦社会にも問題があり、その改善の一つとして、警察職員の声が、匿名の声も含めて、公安委員会などに届けられ、公に議論される場を保障すること。
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