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2006年06月21日

武庫川ダムは、ほんとうに「総合治水より安上がり」か?

つづき研二県議  (「兵庫民報」記事より転載)

 今、神戸新聞が、八日付で「武庫川ダム代替案不十分なら建設も」「ダムを建設しないといわれてもだめだ」と井戸知事の記者会見を報道、十一日付で「ダムなしに不安の声」、十六日付で「既存ダム転用九百四十八億円。武庫川ダム七百一億円」(流域全体の治水費用)と連日のように「武庫川ダム必要論」のキャンペーンを展開しています。こんな報道をおこなっているのは神戸新聞だけですが、中身も県の言い分を無批判にそのまま流しているだけ。武庫川ダムが安くつくというのも、県が、一方的に計算したものです。

(1)武庫川渓谷破壊の損失は一切考えていない

 新河川法では、治水計画にあたっても環境を考えていくという原則がつくられましたが、県の比較検討にはこの原則がまったく入っていません。
 流域委員会で関学の長峯純一教授(財政学)が、ダムによる武庫川渓谷破壊の損失を考えなければ本当の比較検討をしたことにならないと幾度も強調されていましたが、県はまったく無視しています。
 旧国鉄線跡がハイキング道になっていますが、京都の保津峡は歩けませんが、保津峡よりずっと長い武庫川渓谷(六キロ以上)は市民が直接歩けるのです。休日には関西圏からハイキングを楽しむ人がどっと来ます。武庫川ダムを作ればこの渓谷美は完全になくなります。市民の財産を奪う損失は何も考えずに、ダムが安くつくとは、旧河川法の感覚しか県知事にはないということです。

(2)武庫川ダムの寿命は?

 県は、武庫川ダムは常時穴が開いているダムだから、土砂が溜まるのは、洪水時湛水区間の最上流だけで、それ以外では土砂はたまらないとしています。
 しかし、ダム上流部は延長五キロを超え、しかも川底が平滑でない渓谷ですから、洪水湛水時にいったん沈下した土砂が、洪水がひく時に、そのほとんどがダム下流に流れ出すというのは考えられないと、流域委員からも再検討を求める声があがっています。
 土砂が溜まり続ければ、武庫川ダムは、武庫川渓谷を破壊しただけの有害構造物となります。

(3)遊水地による治水は高くつく?

 県は、水田などを活用した遊水地方式は高くつくとしていますが、これはすべて買収方式で考えているからです。
 二十年か三十年に一度の洪水で浸かるだけですから、防災協力田として、水田維持支援金を農家に毎年一定額支払うと共に、洪水で浸かって農作物の損失が出た場合は、その損失を補償する制度をつくれば、ダムを作るより安い費用で治水対策と都市近郊農業維持が同時にできます。
仮に買収する場合でも、日常は、公園や緑地、自然復元田(トンボの里など)などで活用しますから、治水対策費用としてのみ考えるのでなく、自然公園、教育公園などの費用としても考えるべきです。
 ちなみに前回ワールドサッカーの会場だった横浜のサッカー会場は、鶴見川遊水地の上のグランドですし、毎年、年末年始のラグビー全国大会で沸く大阪の花園ラグビー場は遊水地そのものです。

(4)武庫川ダムが三百億円ですむ保証はまったくない

武庫川ダムそのものの建設費用について県は、十年前には二百九十億円、いまは三百億円と言いますが、詳細は示されていません。
ダム工事費だけを考えても、現行のハイキング道(ダムを作れば洪水時に水没する)の代替道建設工事費や流木止め構造物などの費用がはいっていません。実際に工事を始める段になると工事費が跳ね上がったダム工事の例は全国にたくさんあります。
下流の河道整備(中小業者で可能)などを検討すれば、ダムよりもずっと安い費用で治水対策が可能と考えられます。ダム工事はゼネコンの仕事となっていますが、ゼネコン政治が治水対策もゆがめてしまっています。

武庫川流域委員会(松本誠会長)では、二十四名の委員中、三名の治水の学識経験者も含めて、圧倒的多数が武庫川渓谷にダムを作るべきでないという意見で一致しています。
これに対して県知事は、治水計画にダムをいれなければ、流域委員会の答申は認めないと、記者会見をしています。自分で諮問した委員会の結論が自分が予定していたものと違うと認めないというのはまったく、民主主義を踏みにじるものです。
六年前にいったんダム計画をストップさせた力は、市民の声でした。また、県弁護士会、県保険医協会、県生物学会などの団体や会員の声も大きな力となりました。
ぜひ、流域委員会の審議を無視する知事に抗議の声をあげていただきたいと思います。



抗議先:県民政策部知事室秘書課
Fax 078(362)3901
Mail hishoka@pref.hyogo.jp

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