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本会議

第336回本会議一般質問 入江次郎
2017年6月7日

※県議団のテープ起こしによるものであり、未定稿です。

1.福祉・暮らし優先の県政への転換を

 1項目目は、くらし・福祉・教育予算削減の県行革は中止し、県民のくらしを守る県政への転換を求め質問します。
 知事は、2月議会最終日、5選目を目指す知事選への立候補表明をされました。知事は任期中の4期16年の間に「行財政構造改革推進方策後期5か年の取組み」「新行革プラン等」の策定・変更を繰り返し、とりわけ、住民福祉増進の機関として、本来自治体が最も手厚く措置を講じなければならない社会的に弱い立場にある県民への医療費助成制度をばっさり削減してきました。老人医療費助成制度は井戸知事が就任した2000年には対象年齢の約70%・21万8千人が助成対象だったものが、ついに今年度から廃止され、新たな制度では対象年齢の約3%、1万2千人しか対象者を担っていません。
 「これ以上、低所得の高齢者の医療費助成は削減できない」と、市独自の予算をつけて継続する市も出るなど、あまりにも冷たい県行革のやり方に困惑が広がっています。
 また、ある重度障害者は「重度障害者医療費助成制度の所得基準が世帯合算に変更されたことによって、適用除外となった。肢体障がいのせいでケガが絶えないのに、あまりにも冷たい」と切実です。
 また、ひとり親家庭の医療費助成制度は対象世帯の所得制限を所得268万円未満から95万円未満へと基準を大幅に強化し、ダブルワーク、トリプルワークと仕事を掛け持ちしてやっと生活しているシングルマザーが対象からはずされ、体の具合が悪くても病院に行くのを我慢しているとの声も寄せられています。
 その一方で、県は、過大な見込みで大規模開発・大型公共事業を進め、大企業優遇の県政を進めてきました。例えば阪神淡路大震災後の震災復興事業では、「創造的復興」の名のもと、知事が「大交流時代」として、建設費補助や出資をしてきた神戸空港は、当初見込みの半分しか乗客がありません。
 また、井戸知事は、2004年「行財政構造改革推進方策後期5か年の取組み」で、福祉医療をバッサリ削る一方で、投資事業は「3400億円の事業量の確保」を掛け声に毎年度平均3〜4%の減額にとどめ聖域化してきました。2000年代前半は、全国の都道府県が投資事業を見直し半減させた県もあった中で、あまりにも異常だったと言わざるを得ません。当時の土木費による起債によって、現在の公債費が膨らみ県財政を圧迫しています。
 それでも知事は人口や自動車保有台数が減少するもとでも、播磨臨海地域道路・名神湾岸連絡線・大阪湾岸道路西伸部など、巨額の費用を要する道路建設に固執し続けています。
 渋滞解消を目的に建設された高規格道路では新たな自動車を呼び込み新たな渋滞を発生させています。また、県内では高規格道路の開通によって、大型観光地への集客効果はあったものの、観光客の移動ルートが一般道路から高規格道路へ転化し、地域の沿線商業施設は利用客の大幅減によって疲弊を極めています。高規格道路建設では、特殊技術を必要とするため地元建設業者の受注率は極めて限定的となっています。その他にも、高規格道路が開通することによって、病院等の公共施設への移動距離が短縮することを理由に公共施設の統合再編を進める動きもあると聞いています。高規格道路の建設・延伸によってますます地域を壊しているのが実態ではないでしょうか。
 さらに、上限なしの企業立地補助金は、パナソニック1社に131億円もつぎ込んだにもかかわらず、尼崎工場は2〜6年の間に撤退し、千人を超える失業者を生み出しました。姫路工場では、未だ地元からの正規雇用は確認されておらず、姫路市が補助金支出先企業に対して行った実態調査では、大企業にとっては補助金支出が立地選定の決定的条件になっていないという調査結果も示されています。地方自治体・兵庫県政の本来の役割は、地方自治体の本旨である県民の福祉の向上に努めることです。
 知事は5期目への決意を固めておられますが、これまでの財政悪化の原因でもある大規模開発・大企業優遇の県政や、県民の暮らしを削減する県行革から、県民の福祉、暮らしを増進させる県政への転換こそ必要ではありませんか。お答え下さい。また、これだけ県民の福祉・医療を切り捨てる県行革を押し付けておきながら、約4000万円もの退職金を受け取るのか!!と県民から怒りの声も挙がっていますが、知事は、県民の暮らしを削った責任をどう感じ、この声に、どうこたえるのでしょうか。お答え下さい。

答弁 井戸知事 日本共産党議員団の入江次郎議員のご質問にお答えいたします。
 まず県行革についてです。本県の行財政構造改革は阪神・淡路大震災の復旧復興のため、1兆3千億円にのぼる県債の償還を行いながら、将来にわたり県民の要請にこたえることの出来る行財政構造を確立する、このために取り組んでまいりました。
 改革の目的を達成するため、行革条例の制定や特別委員会の設置など、県議会のご指導とご協力をいただきながら進めてまいりました。
 29年度までに、組織では平成20年に本庁を全国最小規模の5部体制に再編しました。21年度に地方機関の事務所を111事務所から71事務所に再編しました。
 定員では30年度までに3割削減の目標をたて、現在、28.3%の削減となっております。給与では、職員の協力をえて、県独自の給与カット、全職員平均5%から8%のカットを実施してまいりました。事務事業では、事業の見直しにより2548事業を廃止いたしました。一方、1500ほどの新規事業を創設しております。
 投資事業は地方財政計画の水準を基本に、通常事業費を平成19年度の2540億円から、今年度予算では1580億円に縮減して、地方財政計画水準に合わせております。
 公社の数につきましても、43団体から32団体に削減しました。
 ご指摘の老人医療費助成事業は、平均寿命の延伸や、受給者の増加をふまえた見直しです。重度障害者医療費助成事業は、世帯の所得判定は世帯合算がのぞましいから見直しております。母子家庭等の医療費給付事業は、乳幼児子ども医療費助成の充実をふまえて、母子または父子世帯と同程度の所得水準である他の世帯との不均衡を是正したものです。
 神戸空港は、ご指摘ではありますが、厳しい運用制限があるなかで、開港11年で累計2822万人が利用しています。平成28年度の利用者は272万人で自治体管理空港の中で一番利用者が多い空港です。
 北近畿豊岡自動車道は、大型観光地である城崎温泉の観光客が約15%増加しましたし、但馬全体でも約30%増えています。
 企業立地の促進は、地域の雇用を生み、人の流入を促進し、経済を活性化させる大変重要な手段だと考えています。
 この間、収支不足額は平成19年度の1280億円から、今年度170億円と8分の1まで縮減しました。
 平成27年度の県民意識調査においては、住んでいる地域にこれからも住み続けたいと答えた人の割合が、77.2%となっています。県民の理解と協力のもとで、進めてきた結果と考えます。
 今後、最終2ヵ年行革プランに基づき、平成30年度の収支均衡を達成し、改革の区切りとしたいと考えます。
 しかし、震災関連県債残高は依然として4000億円弱にのぼっています。健全な行財政運営が維持できるよう、平成31年度以降の行財政規律の確保に関する基本的な枠組みについて検討してまいります。
 なお、知事の退職手当でありますが、平成25年3月に開催された特別職の報酬等審議会におきまして、一般職の改定状況や、他府県の状況を踏まえ、従前より25%引き下げた水準が適当とされ、実際の支給額はさらに5%行革の措置として上乗せをして従前に比べて3割カットとなっております。

2.待機児童の解消 「保育の質」の確保を

 2項目目は、待機児童対策と保育の質の確保についてです。
 4月1日時点の県内の待機児童数は、昨年度の1050人から522人増の1572人にのぼりました。私の地元・姫路市の待機児童数も、126人と昨年から80人増え、さらに保育所に申し込んでも入れなかったいわゆる「保留児童」は288人にも上ります。
 知事は、来年4月1日時点での待機児童ゼロの目標達成について、「なかなか難しい」と、解消に程遠い現状を認められました。
 保育所定員増のスピードを抜本的に高めるため、整備費補助の復活や増額、保育士給与引き上げなどを国に強く求め、県としても支援を強めることが必要です。
 ただし、ただ数さえ増やせばいいというわけではありません。このことを痛切に示したのが、姫路市のわんずまざー保育園の問題でした。
 国や県が、待機児童対策として、「認定こども園」や認可外保育所など基準がばらばらな施設を、認可保育所と同じ枠組みで扱い、とにかく数を確保し、質の確保をせず間に合わせの受け皿づくりを急いだことが、今回の問題の大きな原因です。
 そこでお伺いします。知事は、記者会見で、待機児童対策について「質的な担保を無視してはいけない」とのべられましたが、それならば以下の点についてお答えいただきたいと思います。
 1点目は、「わんずまざー保育園」の認定責任についてです。私のもとには、保護者の方々から相談が寄せられ、「「認定」の文字がなければ通わせなかった」などと切実に訴えられました。同園を「認定こども園」として認定したのは県であり、県には、そもそも無認可保育所だった同園が認定にふさわしい施設かどうかきちんと審査する責任がありました。
 わが党の「事前の審査のしくみが不十分」「新制度開始に合わせた駆け込み認定では」との指摘に対し、県は「法令等に従い、審査し、認定を行った」などと答弁しましたが、再発防止のためにも、県自身が責任を認めて検証を行う必要があるのではありませんか。
 2点目は、保育基準を満たしていない無認可保育所を、「特定認可外保育施設型・認定こども園」として認定できる県条例の見直しの必要性です。
 先日、内閣府が発表した保育施設での死亡事故の13件のうち、認可が5件、無認可が7件、その他が1件でした。率にすると、無認可施設では認可施設の10倍にもなります。県下にこの類型のこども園が5施設しかないのも、市町が質の確保を懸念しているからです。
 しかし、県は、「特定認可外保育施設型」を条例で決めたばかりでなく、国の参酌基準が、給食について「調理室必置」となっているのに対し、「一定の条件のもと外部搬入可」とするなど、さらに保育の基準を緩和した条例をつくりました。
 わんずまざー保育園は、当時調理室がなく県が参酌基準を下回る基準にしていなければ、同園は認定こども園に参入できませんでした。
 第2、第3の事態をうまないよう、条例は見直すべきではありませんか。
 3点目に、保育の基準についてさらに規制緩和を求める知事の姿勢についてです。
 知事は、認定こども園等の「3歳未満児の給食の外部搬入」「園庭面積の基準の緩和」など、さらなる規制緩和を主張し、国に求めてこられております。しかし、基準を緩和すれば、安易な参入を増やし、子どもの安全を守れなくなる懸念がさらに大きくなります。知事の言われる「質の担保」と矛盾するものであり、改めるべきではありませんか。
 以上3点について、明確な答弁を求めます。

答弁 柏福祉部長 まず、待機児童対策と保育の質の確保についてです。
 3点のお尋ねがございました。
 まず1点目でございますが、姫路市内のわんずまざー保育園では、平成26年度当時、入所定員が不足し、特に保育の受け皿整備が必要な地域にあったため、姫路市や市の子ども。子育て会議からわんずまざー保育園を認定することにより、保護者のニーズにこたえたいという意見がございました。また、県として現地確認を行い、問題がないことを確認いたしますとともに、申請処理も適正でございました。いわゆる認定こども園法では、認定基準を満たせば認定するしくみであることから、認定は適正であったと考えております。
 しかし、今般の不正事案を踏まえまして、認定こども園審議会等で再発防止策の意見をいただき、7月にとりまとめることといたしております。
 次に、2点目でございます。認定こども園についての県条例では、特定認可外保育施設型は調理室を必要とせず、園外からの搬入を可能としております。
 これは、公立保育所とのバランスを考慮するとともに、適正な給食事業者との連携があれば栄養や衛生面の質の確保ができることからでございます。
 また、今回の事案は外部搬入が問題ではなく、園児数にみあう給食が十分に用意されていなかったことに問題がありました。
 さらに県条例では、調理室については基準緩和をいたしておりますが、定員の設定において、3歳児は25人学級以下にし、認定こども園の特長としての幼児教育等の面を強化するなど、県の実情に応じた条例といたしておるところでございます。
 条例を見直すのでなく、ひとつには認可認定手続きの見直し、ふたつには指導監査等の強化、3つには法令遵守等の研修の実施などを中心といたしまして、さらに適正な運営を確保してまいりたいと考えております。
 3点目でございますが、認定こども園の園庭面積の参酌化につきましては、都市部での整備を推進するため、保育所または幼稚園の面積基準を、地域の実情に応じて規定できるように国に要望しているところでございます。今後とも必要な規制緩和を進めまして、地域の実情に応じました整備を推進することで、待機児童の解消をはかり、認定こども園の量と質を確保してまいります。

3.介護サービスを切り下げるな

 3項目目は、介護予防・日常生活支援総合事業についてです。
 2017年4月から「介護予防・日常生活支援総合事業」が全市町で始まりました。県内で総合事業への移行によって、介護保険サービスから外される可能性のある「要支援者」は、介護認定を受けている利用者の約37%にもなります。
 在宅介護を支えるホームヘルパーによる訪問介護や、デイサービスなどの通所介護の一部が介護保険の予防給付から外され、準備が整わないまま、市町の総合事業に移行する取り組みが進められています。
 総合事業では、介護給付費の抑制策として、数日の研修だけを受講した無資格者など「緩和した基準によるサービス」を用意しています。
 県内の市町では、報酬単価の低さによって適正な労働条件が確保されず、職員を応募しても職員が集まらないという声も寄せられています。「緩和した基準によるサービス」は、41市町の内、訪問A型で34市町、通所A型では23市町の実施状況に留まっています。
 一昨年から先行的に、通所A型として「支え合い通所介護事業」を始めた豊岡市では、29地区中、受け皿ができたのは、8地区に留まり、採算が取れないため参入事業者の手が上がらず、研修を受けた担い手も「事故」等を心配し、実際の従事に二の足を踏んでいます。
 私の地元姫路市では、総合事業に取り組む事業所で、「担い手養成研修」の受講を呼び掛けていますが、応募が少なく「果たして目標通り人材が集まるのだろうか」と、不安を漏らしています。
 その他にも、訪問B型、通所B型では、自治会役員や民生委員などによるボランティア活動によって介護の一端を担う制度も同時に始まりました。しかし、ここでも担い手不足のため、41市町の内、訪問B型は8市町、通所B型では3市町の実施状況に留まっています。この様に、県下の状況を見るだけでも総合事業自体が行きづまり、サービス提供にばらつきが出ています。
 要支援の高齢者は、様々な生活上の困難を抱え、在宅生活を送るうえで専門職であるヘルパーの訪問やデイサービスへの通所が「命綱」となっており、「無資格者」や「住民ボランティア」が肩代わり出来るものではありません。このままでは、必要な介護を利用できず苦しむ高齢者、家族がますます広がるのではないでしょうか。
 そこでお伺いします。県は、これまで総合事業移行後も、サービスが必要と認められる高齢者に対しては、サービスを継続して利用できる「配慮が必要」「必要に応じ市町に助言する」としています。同じ県内に住んでいながら必要な介護サービスを受ける事ができないというこがあってはなりません。まずは、県内市町の総合支援事業の取組状況について実態調査を求めます。また、せめて「現行相当サービス」が維持できるよう県として市町に対して必要な支援を求めます。ご答弁を求めます。

答弁 柏福祉部長 介護予防・日常生活支援総合事業についてでございます。
 高齢者の増加と、生産年齢人口の減少を踏まえまして、サービスの重点化をはかるため、介護予防・日常生活支援総合事業におきましては、住民主体の活動やボランティアなどの支えあいに多様な担い手が参加するようにしつつ、高齢者が元気に暮らせるように介護予防をはかりますとともに、専門的な支援が必要な方には、専門職によるサービスが提供されるよう、体制整備をすすめているところでございます。
 今年度から全市町において総合事業が実施されましたが、現段階では全市町で介護予防給付に相当する訪問通所サービスが提供されております。
 一方、生活援助を中心といたします訪問型サービスや、体操やレクリエーションを中心とする通所型サービスにつきましては、住民ボランティアでも担うことが可能でありますことから、行政主導ではなく、地域のNPOや住民組織等さまざまな主体の理解と協力を得ながら進められているところでございます。
 県では、ひとつには地域のニーズをささえ、つなぐ役割を担います、生活支援コーディネーターを対象とした研修や、二つには、住民主体のサービスのモデルである地域サポート事業の報告会、また、3つには一定の専門性を有する訪問型サービスの担い手を養成するモデル研修を実施し、市町の体制整備を支援しているところでございます。
 引き続き市町の取り組み状況を適切に把握いたしまして、地域の実情に応じ、現行相当サービスの提供に限らず、必要な方に必要なサービスが提供され、高齢者が住みなれた地域でその人らしく生活できるよう、市町を指導いたしますとともに、地域包括ケアシステムの構築を支援してまいりたいと思います。

4.公契約条例の制定を

 4項目目は、公契約条例の制定についてです。
 5月10日付読売新聞が、姫路商工会議所内の「姫路経済研究所」の調査で姫路市内の事業所の約75%が何らかの職種で人材不足を感じているというアンケート結果を報じました。業種別では建設・製造業の技術専門職の不足感が目立つとのことで、人材不足の背景として「職人の高齢化」「若手技術者不足」などが意見としてあげられています。
 県は昨年2016年4月に「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」を施行しました。
 要綱第1条の趣旨では「県契約に基づく業務に関わる労働者の適正な労働条件を確保し、もって労働者の生活の安定を図り、公共工事及び公共サービスの質の向上に資するため」としています。要綱にある「適正な労働条件」とは、要綱解説によると「最低賃金額以上の賃金の支払いを行うこと」となっています。
 今回県が、この要綱に基づき各課の担当者に「県契約において『最低賃金額以下の賃金しか支払われていない』という労働者からの申し出はあったか」との調査をした結果、労働者からの申し出はなかったという事でした。当然のことであると同時に、労働者の申し出があったか、なかったかという調査方法では実態をつかむという事にはなりません。県自ら、下請けも含めた立ち入り調査を行うなど賃金実態を把握する必要があるのではないでしょうか。
 要綱の趣旨は、「適正な労働条件」で「生活の安定を図り」それを以って、若年者の入職を促し、その結果、将来にわたり公共工事・公共サービスの質の向上に資する。という事です。というのであれば、最低賃金額以上の賃金の支払いを厳守させる、というだけでは不十分ではないでしょうか。
 福岡県直方市(2013年制定)では西日本で初めて市自らで最低賃金条項を定めた公契約条例を制定しました。
 また神奈川県では、公契約条例制定の議論を受けて、その前提となる「賃金実態調査」を行っています。県自ら、元請はもちろん下請も含めた契約企業に賃金実態調査への協力を要請し、報告を集約しています。これをもとに、「公契約に関する協議会」で調査を進めています。
 県契約からワーキングプアーを無くし、公共工事、公共サービスの質を将来にわたり確保するためにも公契約条例の制定を求めます。また、昨年策定された要綱の趣旨を生かし、目的を果たすためにも、まずは、県契約の下で働く労働者の賃金実態調査を行う事を求めます。ご答弁をお願いします。

答弁 片山産業労働部長 公契約条例の制定についてでありますが、すでに本県では、昨年度から「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」を定めてすべての県契約を対象に、最低賃金法など、労働関係法令の遵守を契約相手方だけでなく、下請け業者にももとめ契約者の明記と誓約書の提出をもとめています。
 労働者から最低賃金を下回る等の申し出があり、契約相手方が適切な対応を行わない場合、また労働局が最低賃金法違反で送検した場合に契約を解除できることとして実効性の確保をはかっております。
 賃金の実態についてすべての県契約の調査をすることは、多大な作業を要するため、国の調査を活用するなどして県内労働者の賃金の動向把握につとめております。公契約条例は、小規模の下請け業者も含め受注者側に賃金報告の事務負担が増加するなどの課題もあるため、現在制定数は、都道府県単位で5県のみで、全国的な広がりはみられません。
 しかも、いずれも独自の賃金下限額を定めていない理念条例であります。賃金等の労働条件につきましては、労働関係法令の遵守を前提として、労使が自主的に決定することが原則であり、国が定める最低賃金額とは別に、賃金の基準を県が新たに定めるのは、慎重な検討が必要と考えております。
 当面は、公契約条例を制定している県の運用状況を見つつ、昨年度から実施している「県契約における適正な労働条件の確保に関する要綱」の適切な運用につとめてまいります。

5.新日鐵住金(株)広畑製鐵所による違法取水をただせ

 5項目目は、新日鐵住金(株)広畑製鐵所による工業用水目的外使用についてお伺いします。
 姫路市広畑区にある新日鐵住金(株)広畑製鐵所が、昭和45年ごろから約50年間にわたり、県管理の夢前川から、工業用水目的でしか認められていない水利権であるにもかかわらず、その一部を自社従業員の飲用として使用していたことが日本共産党県議団の調査で明らかになりました。河川法では、水利権についてその目的を達成するために必要最小限の取水を認めたものであり、不必要な分を取水したり他の目的に使用したりすることを認めていません。
 そこでお伺いします。県は共産党議員団の指摘に基づき、新日鉄に対し目的外使用に至った経緯についての聞き取りを行っています。
 目的外使用に至った経緯について、また県が新日鉄に対して行った指導内容についてもお答え下さい。目的外使用である飲用水としての取水は直ちに是正させなければなりませんが、そうすればたちまち新日鉄構内で働く従業員への飲用水供給ができなくなってしまいます。現在新日鉄は、水道事業者である姫路市に対し、水道水供給を求める協議を始めていますが、姫路市からの水道水供給はいつごろを目途に開始されるのですか、つまり目的外使用はいつ解消されるのかお答え下さい。
 各市町の水道事業では給水人口の減少、水道施設の老朽化等によって、その負担を水道料金に転嫁せざるを得ない状況にあります。
 姫路市では平成27年度には約14%もの水道料金が引き上げられ利用者である市民・事業者への負担増によって水道事業が支えられている状況です。そのような中で、地域のリーディングカンパニーを自称する新日鉄住金広畑製鉄所が約50年間にわたり飲料水を違法に取水していたことは許されるものではありません。今回の新日鉄の件は、ほんの氷山の一角ではないかと思われます。
 全県的な調査を求めます。

答弁 糟谷県土整備部長 河川水の水利使用許可についておこたえします。まず経緯についてです。県は、新日鐵住金広畑製鐵所に対し、昭和13年、使用目的を工業用水と飲料水として夢前川の水利使用許可をおこないました。当時、広畑地域の土地利用は田畑などが主体で住宅はほとんどなく、現地の水道は供給されていませんでした。このため新日鐵住金は、自ら浄水場を設置して夢前川から取水し、広畑製鐵所内、および周辺への住宅街へ飲料水を供給していました。その後、昭和39年の河川法改正を機に、使用目的ごとに水利使用許可をおこなうこととなったため、昭和41年の許可方式から、使用目的が工業用水のみに変更されました。しかしながら、その後も、新日鐵住金が飲料水としての使用も継続しておこなっていたところであります。
 次に県の指導ですが、昭和45年ごろから広畑地域で市水道が順次供給可能となってきましたため、県は新日鐵住金に対し、飲料水の供給を市水道に切り替えるように指導しました。それ以降の県の指導記録は残っていませんが、新日鐵住金は、平成24年までに私宅等の飲料水の供給をすべて市水道に切り替えました。しかしながら製鐵所内の飲料水につきましては、従来のまま自らの浄水場から供給していたため、県は本年3月に改めて市水道への切り替えを指導したところであります。
 現在新日鐵住金は製鐵所内の給水等の市水道との接続方法について市と協議中であり、来年度には工事をおこないすべての飲料水の供給を市水道にきりかえる予定となっております。
 なお全県的な調査につきましては、県管理河川において使用目的を工業用水として許可している全水利権使用業者に対して、飲料水などに使用していないかという調査を5月中旬からおこないました。その結果、工業用水以外の使用はなかったことを確認しました。

入江再質問 水利権の問題ですが、われわれずっと調べてきて、姫路市にも聞いてきた。姫路市は、日量700m3ぐらいの水道水を供給してもらいたいと新日鐵のほうから事前に協議があったと述べている。年間で換算すると7000万円〜8000万円の額になる。
 企業庁が工業用水目的で、水利権を獲得している。その企業庁が民間事業者に工業用目的として提供している。民間事業者が飲用水と取水する。こういう例もある。これは法的な整備もきっちりして、企業庁経由で民間事業者に工業用水がいっている。民間事業者が飲用水として使っているという例を私たちもたくさんつかんでいる。こういうものについても法的な整備も含めて、企業庁が民間事業者に提供し、飲用水として取水している。こういう点も、きちんと確認してほしい。

再答弁 糟谷県土整備部長 企業庁と水利使用権の関係ですが、企業庁が工業用水事業法にもとづきまして、工業用水を民間事業者に提供するのは河川法に基づく許可を得ている。企業庁が工業用水として民間事業者に供給した水を飲料水として使うということは、工業用水事業法としては、許容されているので、それについては問題ないと考えています。
 河川法につきましては、企業庁は工業用水として許可を得、工業用水として民間事業者に供給していますので、問題自体はないと考えています。

6.9条守れの声を地方から

 最後に 憲法9条の改憲問題について知事のご認識をお伺いします。
 5月3日に安倍首相が、読売新聞の「首相インタビュー」と日本会議系の団体主催の「憲法フォーラム」へのビデオメッセージで、憲法9条に自衛隊を明記する憲法改定を行い、2020年に施行を目指すと表明しました。
 戦後、政府は「戦力不保持と交戦権の否認」を定めた9条2項のもと、自衛隊は「戦力ではなく自衛のための必要最小限度の実力」としてきました。そのことから海外での武力行使、集団的自衛権の行使、武力行使を伴う国連軍への参加はできないとし、それを根拠に自衛隊を合憲と言ってきたのです。また、2015年9月に成立したいわゆる安保関連法のもとで、9条2項の制約の範囲内という建前がとられ、集団的自衛権の行使は「我が国の国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」等がある場合に限定され、「湾岸戦争やイラク戦争、アフガン戦争のような場合に、武力行使を目的として戦闘に参加することは決してない」と、してきました。
 安倍首相の発言の内容は、「9条1項と2項は残し、自衛隊の記述を明記する」というものです。その場合、2項が死文化、亡き者にされてしまいます。なぜなら、自衛隊の存在理由が書かれれば、それが独り歩きし、それを根拠にして自衛隊の役割がどんどん広がっていくことになるからです。例えば、自民党の改憲案にあるような内容で「ただし、国際の平和と日本の独立を確保するために自衛隊を保持する」と明記されたら、自衛隊は2項の制約から解き放たれ、海外での武力行使は無制限になってしまいます。
 知事は2005年の第283回定例議会で、我が党議員の質問に対し、自衛隊について「やはりそれなりの明確な位置づけをすべきではないか、」と答弁しています。ただ、申しあげました通り、2015年に集団的自衛権の行使容認が閣議決定され、いわゆる安保関連法が成立したもとで、自衛隊の本質と役割が大きく変わり、自衛隊を9条に書き込むことに、かつての改憲論者からも批判の声が多く挙がっています。変えるべきは憲法9条ではなく、現実を憲法に合わせる努力こそ必要ではないでしょうか。安倍首相の憲法9条改定発言に、地方からも反対の意思を明確に表明することを求めます。知事の答弁を求めます。

答弁 井戸知事 日本国憲法の前文、および9条に示されている恒久平和主義は、憲法の基本原理のひとつであるとともに戦後の日本が世界に誇るべき崇高な理念であると考えています。
 その理念のもと、わが国が世界の平和の確立に積極的に貢献すべきであることは私も含めて、すべての国民の願いであると考えます。
 外交防衛については、もっぱら政府が責任をもつ分野であると考えるが、少なくとも現在の自衛隊が国際平和貢献、大規模災害への派遣など、重要な機能を果していることに加え、国の安全の根幹をなす存在です。
 おおかたの国民は自衛隊の存在自体が憲法に違反すると考えていない実情ではないかと思っています。
 憲法上明確にその位置づけの必要性について、国において十分な検討や議論はおこなわれるべきです。
 また現行憲法制定後70年のあいだ、憲法解釈によりさまざまな現実問題に対応してきたが、解釈だけで現実問題に対応することについての是非がいまあわせてとわれているのではないでしょうか。
 今後9条を含めた憲法改正について国会をはじめ、国民のあいだで十分な議論がされることを期待している。とくに地方自治の条項についてもそのひとつだと考えます。
 なお県としては、国とは別の次元で、草の根の地域間交流をはかることにより、地域から国際平和に貢献していくことが県の役割と認識しています。

入江再質問 憲法の問題について、知事は「解釈だけで対応するのは限界があるのではないか」と答弁された。自民党元総裁の河野洋平氏は、先日行われた講演の中で「人によっては軍隊というべき自衛隊の存在がある以上、9条に書くべきだという人もいるがそれは間違っている。憲法は現実に合わせて変えていくのはなく、現実を憲法に合わせる努力こそすべきではないか」「事実上はこうだから憲法を変えましょう」では、憲法にはひとかけらの理想もないのかと言いたくなる。憲法には一つの国家の理想が込められていなければならい」こう述べています。全くその通りだと思います。
 あらためてお伺いしたいのは、知事は、「憲法の崇高な理念」といいますが、自衛隊の役割と性質が大きく変質したもとで、その自衛隊を憲法9条に明記することによって、知事のおっしゃった「恒久平和主義の理念」が、根底から揺らいでしまいます。
 2015年の集団的自衛権行使容認閣議決定と安保関連法の成立によって、日本が直接武力攻撃を受けていないにも関わらず、日本と密接な関係にある同盟国、つまりアメリカと一緒になって海外での武力行使が可能となり、自衛隊の役割と性質が大きく変わった。このもとで、自衛隊を9条に明記するとなると、憲法の崇高な理念は、死文化、ないものになってしまいます。
 改めて知事にお伺いしますが、憲法の崇高な理念を実現するためにも、今すべきことは憲法に合わせて現実を変える努力であって、憲法9条を改定すべきでない、この声を地方からも国に届けていただきたい。あらためてご答弁いただきたい。

再答弁 井戸知事 日本国憲法の特色の最大の理念は、大学時代に習った時も恒久平和主義ということだった。ただ自衛隊の存在そのものについては、違憲だという主張もあるけど、自衛権は否定されていない。自衛権にもとづく活動は、憲法上容認されている、これも大方の理解であると思います。
 憲法改正をするかどうか、どのような内容でおこなうかどうかについて、議論をきっちりする必要がある、それが、憲法審査会を中心に各党、それぞれ意見をたたかわせているというのが、実情であると思います。
 日本国憲法が70年たって、その崇高な理念をどのように守りながら、自衛権とのかかわりをどのように整理していくのか、現時点での主題であると考えますので、その議論をしっかりしていただきたい、国民に信を問う、国民投票おこなわれるのかどうかを見極めることが必要だと考えています。

入江 安倍首相は2020年までに憲法をかえると述べていますが、2020年といえば、次選ばれる知事の任期中ということになります。憲法きちんと守る知事なのか、その態度が問われます。
 憲法9条改正を許すなという声を地方からあげるべきだと述べて質問をおわります。

以上

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