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本会議

第329回本会議一般質問 ねりき恵子
2015年12月8日

【正規雇用の促進を】

 日本共産党のねりき恵子です。11月に内閣府が発表した今年7月から9月期の国内総生産は、年率換算0.8%の減、2期連続のマイナスです。消費税増税された昨年に引き続くマイナスとなり、日本経済の落ち込み、中でも国内需要の落ち込みは深刻であり、3本の矢で経済を再生するとした安倍政権のアベノミクスの破綻は極まっています。個人消費の活性化を促進する施策は待ったなしの課題です。内需を温める経済政策、社会保障の充実を求めて、以下、七つの柱で質問いたします。

 初めに、正規雇用の促進についてです。

 厚生労働省は11月に、全労働者のうち非正規雇用の割合が初めて4割を超えたと発表しました。非正規雇用者の賃金は正規雇用者の6割程度、大きな格差が生じると報告されています。

 しかし、今年9月、安倍政権は労働者派遣法を改悪し、これまであった3年という期間制限を撤廃し、同一業務でいつまででも派遣労働者を使うことができる大改悪を行いました。

 非正規雇用を拡大するやり方では、個人消費は冷え込む一方です。産業立地補助は我が党議員団が繰り返し指摘してきたとおり、パナソニック尼崎工場に100億円からの補助金を決めながら、わずか数年で撤退した例でも明らかなように、雇用拡大にも、地域経済にもほとんど効果はありません。

 その補助事業での雇用形態を事業所規模別で見ると、平成14年度から26年度で大企業は雇用数1,012名のうち、正規雇用は693名で、正規雇用率は68%にとどまっている一方で、中小企業は雇用数2,090名のうち、正規雇用は2,022名、正規雇用率は96%にもなっています。

 やはり、企業の99%、常用雇用数・従業員数の約8割を占める中小企業を支援することが安定した雇用と地域経済の活性化に結びつくのは明らかです。

 東京都では、国のキャリアアップ助成金事業のメニューにある正規雇用転換コースを活用し、国の制度に上乗せをして派遣などの非正規雇用から正規雇用へと転換した事業者に対し、助成金を支払う事業を始めています。

 県は、これまでの非正規雇用を拡大させる大企業呼び込み型をやめ、地域に根を張って頑張り、正規雇用率も高い中小企業を支援し、雇用の安定を促進する雇用政策への抜本的転換を図るとともに、東京都のような非正規雇用を正規雇用へ転換する事業者への助成制度を作ることを求めますが、ご答弁ください。

○知事(井戸敏三)答弁: 正規雇用の促進についてのお尋ねがありました。

 最初に、今日発表になりました7月から9月までのGDPの確定値、年率に直してプラス1%の成長だということでございましたので、念のために申し上げておきます。

 まず、非正規雇用についてでありますが、有期契約が多く、雇用が不安定で正規雇用に比べ賃金が低く、能力開発の機会が少ないといった課題があります。ただ、都合のよい時間に働けるなど、積極的に非正規雇用を選択する人も多くあると言われています。

 一方、国の統計では、約4割の非正規雇用のうち、約18%が自ら望まない、いわゆる不本意非正規であり、特に、25から34歳の若年層で多いという実態があります。これは課題であります。

 そのため、県では新規学卒者の正規雇用促進のため、大学生のインターンシップ事業や、兵庫の若者を積極的に採用するひょうご応援企業への支援などに取り組んできました。

 また、毎年経済団体等に対して、正規雇用の拡大を要請してきております。

 また、ご指摘の産業立地条例に基づく雇用補助については、例えば一般地域では正規雇用11人以上を支援要件としております。当初は、正規・非正規ともに支援対象としていたわけでありますが、19年4月以降は安定した雇用創出を図るため、正規雇用者のみを支援対象としております。このことは、企業の規模にかかわらず、正規雇用の確保に役立っていると考えています。

 今年10月に兵庫労働局が設置しました兵庫正社員転換・待遇改善実現本部に県も参画し、経営者協会、商工会議所、商工会などを含めて企業への働き掛けや、平成25年度に創設されたご指摘のキャリアアップ助成金の定着に向け、兵庫労働局と連携して普及啓発に取り組んでいます。

 県としましては、まず助成金の活用促進に向けた啓発を図ることとしております。県内の受給状況や、その効果等を踏まえて、国の制度の定着を図ってまいりたいと考えています。東京都のような対応をするのは、もう少し、このような定着状況を見極めてからにしたいと考えています。

【保育士不足について】

 次に、保育士不足の対策についてです。

 今年4月から、子ども・子育て支援新制度が始まりましたが、4月1日の待機児童数は5年ぶりの増加に転じ、兵庫県も942人と前年の1.7倍にも上っています。

 その背景にある保育所不足はもとより、保育士不足が深刻です。慢性的な保育士不足の原因として低賃金と長時間労働が挙げられます。常勤保育士の賃金は、厚生労働省の調査でもほかの業種より100万円も下回る低賃金の上、長時間勤務をこなし、更に厳しい状況に置かれている子供や親への対応等、過重負担が離職せざるを得ない状況となり、残された保育士に更に負担が重くのしかかっているという負のスパイラルに陥っています。

 そのような状況のもと、現場起こっていることは、派遣保育士の広がりです。宝塚市のある認可保育園では、産休代替の保育士4人をハローワークで募集したが全く応募なく、仕方なく人材派遣会社へ問い合わせ、やっと3人の保育士を確保できました。派遣の保育士は時間勤務で職員会議や行事などに参加できず、子供への対応、クラスや園全体の行事の打ち合わせなどができず、職員集団を作りにくいなど、専門性の高い保育士の継続的な確保が難しくなっています。

 ところが、県は独自の3歳児保育充実支援事業を廃止してしまいました。国が3歳児担当保育士を加配した場合の加算措置が講じられたためということですが、県の独自支援が継続されていれば、現場の保育所では国の改善と合わせて、より体制の充実が可能となったはずです。

 実際にお話を聞いた保育園でも、結局、公定価格は不安定であり、賃金アップはしにくく、臨時支給しかできないなど、処遇の改善につながっていません。また、先日発表された厚労省の人材確保対策は、正規の保育士を確保・増員してほしいという現場の願いとはかけ離れ、研修代替要員などの加配人員や、朝夕の時間帯の保育士2人のうち1人は無資格者でもよいなど、到底認められるものではありません。

 子供の発達に寄り添った保育の専門性、保育の質の向上のため、専門性を持った保育士の確保と抜本的な処遇の改善を国に求めるとともに、3歳児についても1、2歳児と同程度まで配置できる県独自支援を作るとともに、民間施設給与等改善費の復活や民間社会福祉施設運営支援事業の拡充など、県として処遇改善のための一層の財政支援を求めます。

○健康福祉部長(太田稔明)答弁: 保育士不足でございますが、今年度から子ども・子育て支援新制度への移行に伴いまして、子供のための教育・保育給付が導入をされました。保育士の給与等の処遇改善に係る経費については、公定価格に反映されましたことから、民間施設給与等改善費、あるいは保育士等処遇改善臨時特例事業補助金は廃止をされました。

 また、3歳児保育充実支援事業も、この新制度のもと、国により職員配置が20対1から15対1に改善をされ、加算措置も講じられたことを受け、目的を達したので県単独の補助は廃止をさせていただきました。

 このように、新制度では保育士の処遇改善について、これまでの補助事業から公定価格に基づく施設型給付により対応することになりましたため、制度の安定性は増したのではないかと考えております。

 今後も、国に対して保育士配置基準の改善あるいは給与水準の向上に向け、県も負担をしております公定価格の引き上げ等を提案してまいります。

 また、このことから、県としての新たな給与改善等の支援は現在は考えておりません。

 3歳児保育において、1、2歳児と同程度の保育士配置基準まで拡充することについては、3歳児に係る配置基準が新制度において改善されているということを踏まえますと、保育の質の向上の観点からは、現在国が検討しておられる1、2歳児に係る保育士配置の充実を優先すべきと考えております。

 いずれにいたしましても、県は保育士の処遇改善は喫緊の課題でございます。まずは、既に充実をいたしております、一つには職員の給与改善、あるいは3歳児担当保育士の配置改善の実施、二つには保育士の負担軽減のための保育補助者の配置の支援、三つには保育所の施設管理者等に対する職場環境の改善に向けた実践的な研修の実施などを的確に実施してまいります。

 併せて今後、更に市町や関係団体と協働をして保育人材の確保に向けた取組を進めてまいります。

【介護保険について】

 次に、介護保険についてです。

 今年4月の介護報酬改定は、実質マイナス4.48%、過去最大の引き下げとなり、特に通所サービスには深刻な影響が出ています。県下でも小規模デイサービス事業所が閉鎖され、それまで楽しみに通っていた父親が新しい事業所になじめず行けなくなった事例や、日本共産党の調査でも、要支援者のデイサービスの時間制限や入浴サービスを取りやめるなど、サービスの縮小で対応する事例、食費負担の引き上げや管理費の徴収をするなど、利用者負担に転嫁する事例が明らかになっています。

 さらに、要支援が市町の総合事業に移行することによる減収も懸念されています。国は、都道府県を通じて各指定サービス事業所の廃止等について調査しましたが、介護報酬引き下げがどのような影響を与えているかは、廃業・休止などの件数だけでなく、報酬減の困難にどのように対応しているのか、利用者に悪影響をもたらしていないかなどについて実態を把握することが必要ではないでしょうか。

 また、国は介護報酬全体を大幅に引き下げておきながら介護職員の処遇改善加算を拡大したと言いますが、実際に介護職員の処遇改善が進んだとは言えません。1万2,000円の引き上げを行うとして4月から加えられた加算の請求には条件があり、県内事業所の7割にとどまっています。宝塚のある事業所では、今回新設されたキャリア加算をとろうとしても、研修先が少なく、満杯で申し込みすらできない状況のため、使うことができず、今回の介護報酬改定で約500万円の減収で、経営が大きく圧迫されています。

 また、処遇改善加算をとれても、引き上げの内容は事業所に任されており、月収は増えたが、一時金が減った、あるいはその逆など、実際に安定した収入に結びついているとは限りません。

 そもそも他業種より月10万円も低い介護職員にとって焼け石に水であり、全国労働組合総連合の調査では8割を超える介護労働者が処遇改善加算を実感できないと答えています。

 そこで、現場に危機と困難をもたらしている介護報酬引き下げによる影響について、県として実態をつかむ調査を行うこと、次期改定を待たず介護報酬の引き上げを国に求めること、また介護労働者の処遇改善のために、加算ではなく、交付金創設など別の予算を組むよう国に求めるとともに、県独自の処遇改善制度を創設することを求めますが、いかがでしょうか。

○健康福祉部長(太田稔明)答弁: 今回の介護報酬による影響、この実態把握につきましては、県の老人福祉事業協会と連携をし、通所介護事業所や特別養護老人ホームを対象として経営面での影響について調査を現在実施をいたしております。実態を最大限把握いたしますため、この調査期間をこの11月末までとしておりますことから、近く調査結果をまとめる予定でございます。

 また、今回の報酬改定につきましては、通所介護事業所等の高い収支差率の実態をもとに改定をされ、利用者らのサービス面に直接影響があるとはされていませんが、県は全介護事業者を対象とする集団指導において、サービスの維持・向上を引き続き指導してまいります。

 ご指摘の介護職員処遇改善加算については、事業者において1万2,000円の賃金改善を基本給、手当、賞与等に反映することが加算の要件となっております。県は、今後の実績報告で反映状況を確認をしてまいります。

 ご指摘の認知症加算の要件となります認知症介護実践者研修につきましては、急遽定員を増やし、受講の機会を拡充いたしました。

 介護報酬の見直しについては、現行の保険料に影響することから、次期改定時において適切に対応するよう、現在国に提案をいたしております。

 なお、介護職員処遇改善加算は交付金ではなく、安定的・継続的な事業収入が見込まれる介護報酬において対応することが望ましいと考えておりますが、県では独自の処遇改善対策として、一つには職員のメンタルヘルス対策に係る各施設へのアドバイザーの派遣、二つには産休代替職員の雇用経費の助成、三つにはキャリアアップの研修の支援など、総合的な支援を引き続き行ってまいります。よろしくお願いいたします。

【私立高校の学費軽減について】

 次に、私立高校の学費軽減についてです。

 全国私立学校教職員組合連合の調査によると、全日制私立高校生の学費、3ヵ月以上の滞納者は全国で1.09%、兵庫県3.3%と、就学支援金制度が開始された2010年以降、下がっていた滞納率が初めて増加に転じました。県内では、入学料、施設整備費等の負担を合わせた私立高校の平均的な学費負担は昨年度で81万9,609円と全国5番目の高さです。しかし、それに対する国と県合わせた助成制度は、生活保護世帯、年収250万円未満世帯で37万9,000円と、ようやく授業料をカバーするのみで、給付制奨学金を活用しても賄い切れません。年収250万以上350万円未満の世帯では、助成額は授業料平均にも届かず、50万円を超える学費を自己負担しなければなりません。

 さらに、それ以上の年収の世帯では県の授業料軽減補助はなく、国の就学支援金だけで、授業料の無償化からも遠ざかり、年間数十万円もの学費負担がのし掛かっている状態です。

 神戸市内のある私学では、家の経済事情により、アルバイトを許可しているが、半数もの生徒がアルバイトをしているクラスもある。しかし、アルバイトをすることで、疲れ切って授業が分からなくなり、その結果、中退する生徒も少なくないとのことです。

 昨年7月、国は都道府県に対し、確実に生徒・保護者の経済的負担の軽減策等の一層の拡充をお願いする旨の通知を出しています。

 都道府県の独自制度について、国の調査によると、授業料以外の学校納付金に対する減免制度は、昨年度に4県が新設・拡充し、24府県で実施されています。類似県で平均学費も兵庫と近い埼玉県では、10万円の入学金補助や20万円までの施設整備費補助も県独自で行っています。

 また、世帯収入の上限は、5都府県が750万円以上とし、590万円以上と合わせて16都府県に増えています。ところが、兵庫県は、授業料以外の学費負担に対する助成は行わず、所得制限についても、平成25年度、年収570万円未満まで対象にしていたのを350万円未満までに引き下げてしまいました。国の通知にも、全国の動きにも逆行するものではありませんか。家庭の経済状況によって子供にしわ寄せが行き、高校で学ぶことを自己責任にしていいはずがありません。

 そこで、私立高校の生徒の就学機会を確保するために、授業料軽減補助を施設整備費含め学費全体をカバーするものへと抜本的に拡充すること、県独自の軽減制度の対象となる世帯収入の上限を引き上げることを求めますが、お答えください。

○企画県民部長(五味裕一)答弁: 私立高校の学費軽減についてお答えいたします。

 私立高校生の学費負担への支援につきましては、本県の授業料軽減補助は昨年度に見直しを行いまして、国の就学支援金と相まって生活保護世帯及び年収250万円未満の世帯では、授業料の実質無償化を図っております。

 また、年収350万円未満世帯におきましては、約5万円の増、590万円未満の世帯におきましては、約3万円の増額となるよう措置をいたしまして、一定の充実を図ったところでございます。

 授業料以外の学費負担につきましては、県単独事業で無利子の入学資金貸付といたしまして、年収590万円未満世帯に30万円まで支援をするほか、奨学資金貸付として一定年収未満の世帯に対しまして、年間36万円の支援を行っております。

 また、昨年度から生活保護世帯及び年収250万円未満の世帯に対しまして、教材費、学用品、修学旅行費等に充てる奨学のための給付金制度を創設をいたしまして、低所得世帯の生徒に重点を置きまして支援をしているところでございます。

 県単独の授業料軽減補助のあり方につきましては、経常費補助の水準、国制度の動向等を勘案する必要があると考えております。

 今後とも生徒の就学機会の確保と保護者の負担軽減、学校経営の安定化の観点から適切に支援に取り組んでまいります。

【武庫川の総合治水について】

 次に、武庫川総合治水対策についてです。

 近年、集中豪雨が毎年のように発生し、今年も記録的大雨により、鬼怒川の堤防が決壊するなど甚大な被害をもたらしました。改めて洪水への備えが急がれていることを痛感させられます。

 日本共産党県会議員団は、武庫川の治水について、当初から一貫してダムを造らない総合治水を求め続け、県は武庫川流域委員会の提言を受け、当面20年間ダムなしの武庫川水系河川整備計画を策定しました。

 総合治水対策の、河川、流域、減災対策の3本柱とともに、自然環境保全も位置づけられましたが、私たちは流域対策の効果量の目標について、わずか毎秒30トン、将来目標でも毎秒80トン減らす計画は少な過ぎるもので、各戸での雨水タンク補助制度や水田貯留なども提案し、流域対策の強化を強く求めてきました。

 今回は、学校の校庭や公園などの流域対策、雨水貯留についてお伺いいたします。

 この整備計画を推進するためのフォローアップ委員会により、毎年度、進行管理報告書が作成され、5年ごとに4期に分けて推進計画が進められています。流域対策の貯留施設の点検指標としての貯留量64万トンの全体目標のうち、平成23年から27年までの第1期で5万7,000トンを着手するとしています。

 しかし、昨年までに着手できたのは、1万8,000トンと、3割ほどしかありません。今年度の目標の達成は難しい状況です。河床の掘削や拡幅、堤防強化などを行う河川対策は、一昨年度までに約6割着手されているのと比べても、とても低い水準です。現在まで実施ないし着手されたのは、全て県立の施設で高校8校と公園1ヵ所、その他の施設1ヵ所の計10ヵ所で、市の着手はゼロです。各市が実施できていない最大の要因は、財政負担が大きいことだと言われます。学校を1校整備するのに約1,000万円から2,000万円必要と言われます。宝塚市の場合、市立小中学校33ヵ所と公園19ヵ所を整備しますと、単純に計算して約5億円から10億円掛かります。国庫補助を受けるにしても、市財政を圧迫することは言うまでもありません。

 2012年に流域市と推進協議会を設置し定めた武庫川流域総合治水推進計画では、それぞれの市の目標貯留量を定めて、費用負担のあり方などについて検討した上で実施するとされていました。

 第1回のフォローアップ懇話会でも、県当局の説明で施設の所有者が負担して整備するという考え方でいきますと、自治体間で不公平感がある。受益の程度と流出量の程度、効果などを勘案して、流域市の費用負担を協議し、合意した上で整備を進めるとしていました。

 しかし、このような協議は進んでおらず、最近は各市の負担でとなっています。総合治水推進計画から見ると、県の約束違反になっているのではないでしょうか。私は、むしろ県の計画であり、住民の安全を守る事業、市町をまたがる広域的な事業ですから、必要な学校や公園などの貯留施設は全額県の予算で実施すべきだと考えます。流域に住む県民の安全・安心を確保するために、知事の積極的な答弁を求めます。

○県土整備部長(田中 稔)答弁: 武庫川の総合治水についてお答えいたします。

 武庫川では、県、流域市、県民が相互に連携し、協働して「ながす」「ためる」「そなえる」の総合治水を推進しています。

 「ためる」流域対策につきましては、河川整備計画で学校、公園の貯留施設整備や、ため池の治水活用で約64万トンの雨水を貯留することとしています。このうち、平成23年度からの5ヵ年計画では、学校、公園の完成は2ヵ所、貯留量1万1,000トンの目標量に対しまして、平成26年度末実績が7ヵ所、1万3,000トンとなっており、目標貯留量を達成していますが、ご指摘のとおり、着手は5万7,000トンの目標量に対しまして、実績が1万8,000トンと低い数値にとどまっています。

 その原因は、1ヵ所当たりの貯留量が個々の校庭の状況等によりまして、当初見込みより小さいことが主たる原因であり、今後箇所数の見直し等により着実に推進していきます。

 市による学校、公園の貯留につきましては、県が宝塚東高校や甲山森林公園での施工事例や貯留効果を示すほか、留意点をまとめた雨水貯留浸透機能に係る指針等を策定するなど、市の主体的な取組を促しています。

 その結果、西宮市では総合治水条例施行以前の箇所を含めまして50校の整備を終えています。

 また、県による負担軽減策につきましては、武庫川流域総合治水推進協議会でのニーズや整備効果等の議論を踏まえ、検討する必要があると考えています。このため、今後各市の具体的な取組状況をヒアリングすることによりまして、各市が抱える課題を整理していきますが、総合治水は地域全体として取り組むべきであり、全額県で負担することはございません。

 なお、県は市の取組が促進されるよう、国に対して施設整備の補助要件の緩和等、制度拡充を引き続き要望していきます。

 今後とも流域市と緊密に連携しながら、武庫川流域全体の安全を確保してまいります。

【TPPと県内農業・食料生産について】

 次に、TPPと県内の農業・食料生産についてです。

 TPPの大筋合意は協定案すら明らかでない中、発表された概要によれば、農林水産物の8割で関税が撤廃され、政府が聖域とするとしてきた農産物重要5項目までも、3割で関税が撤廃され、それ以外についても輸入枠が拡大されます。米では、アメリカ向けに、当初3年間5万トン、13年目以降7万トンなど国別の無関税輸入枠が設定され、牛肉は、現行38.5%の関税が16年目に9%へ、乳製品は、生乳換算で当初年6万トン、6年目以降は年7万トンの低関税輸入枠が作られます。野菜・果樹等は約460品目の関税のほとんどが撤廃され、兵庫県が全国3位の生産量を誇るタマネギは、6年目に撤廃されます。農業産出額1,470億円のうち、米が30%、畜産が34%、野菜が27%を占める兵庫県の農業が受ける影響は計り知れず、県内の農業者からは不安や懸念の声が寄せられています。

 県内の水田は4割が中山間地に当たり、大規模化やコスト削減といっても限界があります。淡路の酪農関係者からお話を聞きました。円安で飼料代は1.3倍に跳ね上がりました。ここに、関税が下がり、海外から安い乳加工品が入ってくると、加工用が生産の中心となっている北海道から生乳が飲用として本州に入り、県内の酪農も大きく影響を受けることが懸念されています。また、タマネギは、現在の輸入の大半を占める中国がTPPに参加しておらず、影響は少ないとされていますが、農協でお話を聞くと、水稲と違い、水が少なくても生産できるタマネギは、アメリカ西海岸あたりで大規模に生産に乗り出されたら脅威だということです。

 こうした危惧に対し、政府は、総合的なTPP関連政策大綱を決め、米については、輸入枠に相当する量の国産米を備蓄米として買い入れるとしていますが、備蓄米の枠を大幅に引き上げなければ市場に出回る米が過剰になることは防げず、下落対策にはなりません。

 乳製品については、液状乳製品を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加するとしているだけで、補填単価も示されていません。大綱の中心は、農業の大規模化、生産規模の拡大で、輸出に挑戦する意欲ある担い手だけに支援を集中させようとするものです。しかし、現実に産業としての農業を支え、田畑や里山の景観、コミュニティを含めた地域を担っているのは、小規模農家や家族営農を含む多様な担い手です。これらの担い手の多くを切り捨て、国際競争に生き残れる農家だけを支援するのでは、一層の地方の衰退を招きかねません。

 また、県はブランド力の強化に力を入れ、一般の肉用牛を但馬牛の育成に切り替え支援を行っていくとしています。しかし、県内の農畜産物は海外向けに作られ、県民が日常食べる食料は輸入品に任せるということでいいのでしょうか。

 TPPは大筋合意で、既に決着したかのように宣伝されていますが、関係国における議論や、議会での承認、批准はこれからであり、それ抜きには発効しません。私たちはTPPの調印・批准から日本は撤退すべきだと考えていますが、知事として、地域を支える農業と県民の食料を守る立場から、少なくとも重要5品目について、引き続き再生産可能となるよう、除外または再協議の対象とすること。10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め、認めないことという国会決議が守られない状態での調印・批准に反対を表明すべきだと考えます。

 併せて大綱に基づく大規模・差別化への支援だけでなく、地域の存続・発展のためにあらゆる農業の担い手を支援することを求めますが、お答えください。

○知事(井戸敏三)答弁: TPPの大筋合意については、さまざまな意見がありますものの、厳しい国際交渉の結果として受け止めています。本県においても、関税障壁が緩和される神戸ビーフをはじめ、淡路島たまねぎ、丹波黒大豆の輸出拡大など、農業競争力の強化につながる契機ともなると考えます。

 一方で低価格輸入品の拡大による影響も避けられません。小規模農家も含め、農業者が今後も安心して生産活動に取り組めるように、国に対しまして、まず安定財源の確保による中長期的な対策の実施、そして今後の動向による柔軟な制度の改善を提案しています。

 続いて、個別対策で補完し切れない場合には、所得安定対策の着実な実施を求めています。

 第3に、中山間地域等での日本型直接支払い制度の充実などを求めています。

 農業に与える影響を明らかにし、必要な分野には適切な支援策を講ずることが肝要です。国に対して強く要請しています。また、将来にわたり農業・農村を持続させるため、規模拡大などによる生産性の高い個別経営体の育成が不可欠です。それに加えて、まず小規模農家も参画した集落営農の組織化や法人化を進めます。

 第2に、乳用種の肥育経営に意欲的に取り組む農家に対しても、省力化や低コスト化の支援などを一層進めてまいります。

 生産力強化を図るためには、都市近郊の立地を生かした施設園芸の推進や、コウノトリ米や山田錦など、需要に即した米づくり、鮮度を生かした県産生乳100%による酪農のブランド力強化などにも取組ます。

 加えて、安全・安心な県認証食品の生産拡大、直売所や量販店での県産品の購入機会の拡大を行いまして、生産者と消費者がともに支え合う県産県消の取組も進めます。

 今後は、県内農業への影響分析や事業者への経営意向調査等も実施して、追加対策の検討や国への提案なども行いながら、将来にわたり持続可能な農業と農村づくりに取り組んでまいります。

【温暖化と石炭火力問題について】

 最後に、温暖化と石炭火力問題についてです。

 温室効果ガスを削減し、気温上昇を2度未満に抑えるため、新たな国際的枠組みを決めることを目的にCOP21がパリで開かれています。

 ところが、安倍政権の電源構成「エネルギーミックス」の2030年目標は原発比率を20から22%へ、また石炭電力26%に対し、再生可能エネルギー22から24%と二酸化炭素を最も大量に排出する石炭電力の割合が再生可能エネルギーより多く、温暖化を食い止めるための国際的な努力に逆行するものです。

 そのもとで、全国では48基、2,350万キロワットもの石炭火力発電所の建設計画が進められ、兵庫県では、関西電力赤穂発電所、電源開発の高砂火力発電所、神戸製鋼の神戸製鉄火力発電所の6基、370万キロワットと全国2番目の計画数です。もしこれらが稼働すると兵庫県では単純計算で、推定年間2,200万トンの二酸化炭素を排出することになります。県の第3次地球温暖化防止推進計画は、削減目標を2005年比6%減、つまり1990年比では3%減で、政府目標より上積みされているものの、国際的な目標25%減からはほど遠いものです。

 県内排出量の半分を大規模事業所が占めていますが、これらの石炭火力発電所が新たに稼働することになれば、不十分な現在の目標すら達成することが困難になるのではありませんか。知事も、神戸製鋼の計画に関して、国の目標達成に支障を及ぼす懸念があるなどの意見を述べられました。原発が1基も稼働していなかった2014年度、日本の温室効果ガスの排出量は、省エネと再生可能エネルギーの普及により、前年度に比べ減少しました。このことから分かるように、今必要なのは、原発でもなく、温室効果ガスを増やす石炭火力発電でもなく、再生可能エネルギーの普及にもっと力を入れることです。

 兵庫県は再生可能エネルギーに適した地形を持つ県です。気候変動を抑制し、化石燃料や原発に依存しない社会システムにしていく努力、兵庫県においては地理的条件を生かして再生可能エネルギーにより十分な電力を生み出す方向への転換こそ求められています。

 国や県の温室効果ガス削減計画の目標達成に大きな障害となる関西電力赤穂発電所の石炭燃料への転換、電源開発の高砂火力発電所の更新、神戸製鋼の神戸製鉄火力発電所新設について、県知事として反対の意思を表明し、中止を求めるべきと考えますが、お答えください。

○環境部長(梅谷順子)答弁: 私から温暖化と石炭火力問題についてお答えいたします。

 再生可能エネルギーにつきましては、2013年度から2020年度末までに新たに100万キロワット導入の目標を掲げておりまして、2014年度末に約77万キロワットが導入され、累計では全国5位となっております。

 その84%を占める太陽光発電は、今後適地が減少し、また買い取り単価が引き下げられることなどにより、導入ペースの鈍化が懸念されております。そのため、地域資源を生かした小水力やバイオマス等による創エネをバランスよく支援していく必要があります。

 石炭火力発電所の新増設は二酸化炭素削減目標の達成に大きく影響することから、二酸化炭素を増加させない対策が不可欠です。電源開発及び神戸製鋼所の石炭火力発電所の新増設計画については、法に基づく環境アセスメントの手続中であり、6月に電源開発について、11月に神戸製鋼について、厳しい意見を経済産業大臣に提出いたしました。

 具体的には、最も高効率で二酸化炭素排出量の少ない発電技術を導入すること。二つに、施設の稼働に伴う二酸化炭素総排出量を増加させないこと。三つに、削減方策について自ら行うものに売電先の対策を加えて、定量的に明らかにすることなどでございます。

 関西電力赤穂発電所は、石油から石炭への燃料転換のみで、法、条例のアセスメントの対象外ではありますが、本県は条例に準じた環境アセスメントを実施することといたしまして、11月から手続を開始いたしました。

 今後は、パリで協議されている新たな国際的枠組みや国の方針、日本がリードする革新的技術の開発状況などを視野に入れながら、石炭火力発電所の新増設への厳しい対応をはじめとして、事業者等への指導を強化し、低炭素社会の実現を目指してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

【再質問】

○ねりき恵子議員: 武庫川の流域対策についてですが、今、いろいろと言われたわけですけれども、ぜひ流域対策を抜本的に推進するためとして、市への助成金制度も含めて支援を進めていくことを求めますが、再質問お願いできますでしょうか。

○知事(井戸敏三): 武庫川の総合河川計画に基づいて進めているわけでありますけれども、基本的には、まずは武庫川の河道整備を計画的に進めるということを第一義としながら、ためるという意味で、校庭貯留や田んぼ貯留などにも心がけております。

 そのような意味で、総合的な対策を国の制度も活用しながら、県、市町一体となって進めようとするのが流域における総合治水の考え方でありますので、その基本的な考え方に即して対策を今後とも続けていきます。

 そのような意味でご理解いただけましたら、幸いでございます。

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